転職体験談/セカンドキャリア

サッカー選手のセカンドキャリア

鈴木あぐりさん

こんにちは!マイナビアスリートキャリア 広報担当です。

《今回取材したアスリートは・・・》

元マイナビベガルタ仙台レディース・キーパー/鈴木あぐりさん

2019年シーズンで現役を引退し、アスリートのキャリア支援をする仕事をセカンドキャリアとしてスタートしています。
また、現役中はデュアルキャリアも経験!今回はどちらも経験されている鈴木さんだからこその視点・考え方について語っていただきました!

「ピッチ上で一流でも、ピッチの外で一流でなければ意味がない! 」
デュアルキャリア・セカンドキャリアを両方とも経験したからこそ伝えたい『鈴木さんの考えるアスリートの在り方』とは?ぜひ注目してみてください!

1.経歴

まずは鈴木さんの今までの経歴のご紹介から。
〇1998/10/13 22歳
〇山形県米沢市出身

小学校4年生からサッカーをはじめ、中学生の頃、なでしこジャパンがW杯優勝を転機にプロを目指すことを決意。

高校ではU18日本女子代表や・U20日本女子代表候補、高校女子サッカー選手権(準優勝•ベスト8)、プレナスチャレンジリーグ優勝等の成績をおさめ、卒業後ベガルタ仙台レディース(現マイナビ仙台レディース)に入団。

U19日本女子代表ではAFCアジア選手権優勝、U20日本女子代表ではフランスW杯優勝など素晴らしい成績を収めます。

一方2017年からは株式会社マイナビにアスリート社員として入社。デュアルキャリアで宮城支社に勤務。
2019シーズンで現役を離れ、現在はセカンドキャリアとしてアスリートの就労と育成に携わる。


高校卒業後マイナビベガルタ仙台レディースに所属し、アスリート社員としてマイナビに入社。
現役引退時、「アスリートのキャリアを支援したい」と考え、マイナビ本社へ異動を希望。現在はアスリートキャリア事業室にてアスリートの就職支援をしています。

2.現役時代の1日のスケジュール、仕事内容

では、現役時代、鈴木さんはどんなスケジュールで過ごしていたのでしょうか?デュアルキャリアをしていた現役時代についてお話しいただきました!

《現役時代の1日スケジュール》
09:15~14:00 勤務(水曜は12:00まで)
15:00~16:00 ウォーミングアップ・自主練習
16:00~18:00 全体練習
18:00~??:?? 自主練習

平日はほぼ毎日このスケジュールで過ごしていた鈴木さん。
さらに土日は毎週試合、日本代表活動などに召集があれば、遠征等もこなしていたそうです。
では実際の仕事はどんな感じだったのでしょうか?

《当時の仕事内容》
3年間のうち、初めの1年は総務・広報として与えられた仕事をこなす日々。
しかし、当時の鈴木さんは「もっと仕事がしたい!」と思っていた。

Q:5時間勤務の後、サッカーの練習に行くという生活をしていたのですね。仕事に関してはどのように感じていたのですか?

鈴木さん:デュアルキャリアをしているアスリートの中には、競技を続ける為の仕事になっている人やスポンサーだからそこで働くという人も多いと思います。
しかし私は「もっと仕事がしたい!自分の将来にも繋がる時間にしていきたい!」と思っていました。

Q:どうしてそう思ったのでしょうか?

鈴木さん:1年目に経験した総務・広報の仕事は、各事業部の手の回ってない業務を担当することが多く、正直毎日これといって決まったお仕事がなかったです。その為、仕事というより作業といった感じでした。しかし、せっかく働く機会を与えてもらっていて、毎日働ける時間が決まっているからこそ「もっと自分の成長に繋がる仕事がしたい!」という想いが強まりました。
そこで、2年目以降は直接企業とやり取りができるマイナビ看護師を志望し、リクルーティングアドバイザーとして、より専門的な業務に関わりました。

《希望を出した後の仕事》
2年目以降は自らマイナビ看護師を志望。
主にリクルーティングアドバイザーとして看護師に人材紹介について従事。
企業とのやり取りをし、電話から契約までのすべてを任されるまでになりました。
加えて、マイナビでお取引のあるベガルタ仙台のスポンサー企業やスポーツがお好きな企業への商談同行も定期的に実施。


Q:看護事業部でのお仕事はいかがでしたか?

鈴木さん:最初は企業への電話をするたびに震えるくらい緊張していましたが、その経験が今の仕事にも活かせているので、志望してよかったと思います。また、RAだけでなく商談にも同行させていただき、様々な業界や職種の人たちとお話できる機会があり、そういった面でも成長できました。

2-1.デュアルキャリアをしてみて

鈴木さんは実際にデュアルキャリアをしてみて、「今振り返るとやっていてよかった」と話していました。具体的には以下のように感じているそうです。

<鈴木さんの考えるデュアルキャリアのメリット>
・サッカー以外(企業や様々な職業)の方と関われた
・両立することで相互にとって良いモチベーションや刺激につながり、社か人としても選手としても成長できた
・けがで練習ができない期間やサッカーで思うような結果が出ていないときにその悔しさを仕事にぶつけることができた。
 →力を発揮できる場が競技だけではないことに喜びや成長を感じた
まとめ:自分の成長をより感じた!


Q:デュアルキャリアのメリットに「練習できない期間やサッカーで思うような結果が出ていない時」についてありますが、具体的に教えてください。

鈴木さん:私は、常になにか頑張っていたい成長していたいと思っていました。練習ができないことはとてもストレスで、立ち止まっている感覚が強いです。でも、今振り返れば、その期間は仕事を頑張ることで、気持ちを晴らすことができていたと思います。そういった面でもデュアルキャリアをしていてよかったです。

Q:正直、仕事と競技の両立は大変ではなかったですか?

鈴木さん:大変と思った事はありません!仕事と競技は別物と捉えて取り組んでいました。苦労とは思わず、仕事で何かできないことがあると「悔しい!」と思い、成長へ繋げるようにしていました。サッカーでしか成長できないのが嫌で、1日24時間をフルで有効活用したい!と思っていたので、マイナビの仕事があって本当によかったです。


3.セカンドキャリアへの切り替え

大きな怪我で引退を検討。決断するまでに様々な困難があったそうです。

Q:セカンドキャリアへ切り替えたきっかけを教えてください。

鈴木さん:きっかけとしては練習中に首の怪我をしてしまったことです。
もちろん現役復帰は諦めず最後まで治療やリハビリを繰り返しましたが、複雑な場所を痛めてしまった事もあり、なかなか思うように回復しませんでした。
1年間たくさんのトレーナーやドクターの方にも診て頂きましたが、シーズン終了時の症状を踏まえてピッチから離れることを決断しました。
自身の身体の状態と自分が目指すサッカーへの向き合い方が難しいと判断したことが一番の理由ですが、「自分の新たな可能性に挑戦してみたい」前向きに捉えることができたのも大きな理由の1つです。


セカンドキャリアへの切り替えのきっかけは大きな怪我だったようですが、引退しようという決断はリハビリを終え、自分と向き合った末の決断なのですね。

Q:引退って結構大きな決断だと思います。どうして踏み切れましたか?

鈴木さん:確かに私にとっては凄く大きな決断でした。これまでサッカーに全てを注いできたので。
しかし視点を変えれば、今までサッカーしかやってきてないからそう思うのであって、「サッカー以外の世界を知らないだけだな」「自分は狭い世界にいるから判断基準も狭いんだな」ということに気づきました。
これまで自分が身を置いてきた世界から離れること、そして新たな世界に飛び込むことは不安でしたが、「人として成長できるな」と思えたので決断しました。


「狭い世界にいた」と気づけたのはなぜなのでしょうか?その詳細はこの後の『4.セカンドキャリアをスタートさせて』でお話していただきます。

Q:「プロに戻りたい」と思う事はありますか?

鈴木さん:またプレーできたらいいなと思う事はありますが、今自分がとった決断に後悔はありません。
なぜなら「今、サッカーをしている時以上に一人の人として成長できているなと実感できているから」です。
自分が大好きでやっていたサッカーを生活の軸にすることは確かに幸せですが、それが全てではないと思います。
もし、今引退を悩んでいるアスリートも、第三者の意見で決めることは絶対にしないでほしいです。
これまで魂を注いできたものを辞めるって簡単なことではないですが、最後は自分で選択して決断することが大切だと思います。
自分で選択することで、その決断に覚悟や責任も生まれるので、その先選んだ道でもぶれない軸になるなと感じています。


ここまで苦しい思いをした鈴木さんですが、引退を決断してから現在の仕事に就くまではなんと2ヵ月!!立ち止まりなにもしていないことが嫌いな鈴木さんは、すぐにセカンドキャリアとして新たなスタートを切りました。

3-1 過去の自分に伝えたい事

<過去の自分に伝えたいこと>
✓今だけではなく、
 『10年後どうなっていたいか』を考えてほしい
✓アンテナを広げて、チームメイトやアスリート
 だけでなく様々な人と交流を持ってほしい
現役のころからSNSなどで発信すること。現役
 選手ならではの言葉の重み・影響力がある
競技以外の部分での「強み」を身につけるべき


Q:もし今、過去の自分(現役時代の自分)にアドバイスするとしたら、どんなことを伝えますか?

鈴木さん:今現在の事だけを見て時間を過ごすのではなく、10年後どんな自分になっていたいかを考えて行動しろ!と伝えたいです。
また、チームの人や選手とだけ交流するのではなく、いろいろな業界の人と交流を持って視野を広げろ!それが自分の未来への投資になる!
と伝えたいです。
スポーツ選手は現役中は輝きを放てるかもしれないですが、そこに甘えて競技以外の学びを疎かにすると、セカンドキャリアに突入した時につまずくのではないかと思います。

Q:これはいまデュアルキャリアをしている、あるいはデュアルキャリアを考えているアスリートにも同じことが言えそうですね!

鈴木さん:競技の目標だけでなく、引退した後のことも並行して考えられたらアスリートはかなり強いと思います!私自身が現役中出来ておらず後悔しているので、デュアルキャリアをするアスリートにはぜひやってほしいことです。

3-2 これからなりたい自分

・スポーツ界を変える手助けをしたい!
 →スポーツ以外の強みがあるアスリート
  を増やしたり、スポーツ界とアスリー
  トがより良い関係になったりするのが理想

一生成長し続ける成長マン!!
 昨日の自分より成長したい!

競技は引退したものの、成長は止めたくない!さすがアスリートですね!
また、「死ぬまで攻め続けたい!」とも話していました。

4.セカンドキャリアをスタートして

鈴木さんはセカンドキャリアをスタートしてから5ヵ月が経ちました(取材当時)。改めて現在や過去について振り返ってもらいました。

Q:セカンドキャリアをしている今、現役時代を振り返ってみていかがですか?

鈴木さん:現役時代を振り返ってみると、「これではだめだったもっとできた」と後悔しています。
その理由は『サッカーは自分自身が成長するための1つの手段でしかない』ということに気づいたからでした。これはセカンドキャリアへ切り替えるきっかけでもあります。いままで狭い世界でしか見ていなかった、という後悔から、遅れを取った分もっと成長したい!というやる気につながりました。引退したからこそ気づけたことなので、デュアルキャリアをしているアスリートには広い視野を持って活躍してほしいです。

《セカンドキャリアをしてみて感じたこと》
いろんな業界にその道のプロがいる!
 スポーツ選手だけがプロではない!
✓社会人として後れを取っていることを認め、
 プライドを捨てること!
✓自分にないものを持っている人を見て「悔しい」
 と思えるか、「自分は違う」と思うかでセカンド
 キャリアが成功するかが分かれると感じる
サッカーは自分自身が成長するためのひとつの手段
 でしかない!


鈴木さん:これはセカンドキャリアへ進んで身をもって体験したからこそ言えることだと思います。だれもがいずれはセカンドキャリア、引退を迎えますので、現役中のプライドは仕事とは切り離し、1から挑戦する気持ちで頑張っていくことが必要なのではないでしょうか。自分にはないものを持っている人たちと同じ空間に置かれたとき、「悔しい」「成長したい」と思えるか、「自分はプロアスリートだったから遅れていて当然」「自分は人とは違う」と思ってしまうか、これがセカンドキャリアの成功の分かれ道だと感じます。

5.まとめ

今回は元マイナビベガルタ仙台レディースの鈴木さんのインタビューをお届けしました。
鈴木さんは現役時代を振り返り、『将来自分がどうなっていたいか』を考えるべきだったと言っていました。さらに、同じチームや競技の選手だけでなく、様々な人と交流することで広い視野を持つことができます。

セカンドキャリアをスタートさせてからは、いろんな業界にプロがいることを知り、受け入れること、そしてその人たちから学ぶことで、自己成長へつなげることができると感じたそうです。
鈴木さんのようにどんな決断も自分自身としっかりと向き合い決めることで、軸をもって競技、仕事ができるのではないでしょうか。
デュアルキャリア・セカンドキャリアを両方とも経験したからこそ語れる『アスリートの在り方』、いかがでしたか?
現役中からキャリアプランを立て、セカンドキャリア見据えることが大切ですね!

編集後記

インタビューをお読みいただきありがとうございました。
取材を通し、将来を見据えた選択をするアスリートが増えてほしいと改めて感じました。
また、お話を聞いていて鈴木さんの熱い思いが伝わってきましたので、その部分も読んでくださった方に伝わっていればいいなと思います。

今後もアスリートのリアルな声をお伝えできればと思います!

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