転職体験談/セカンドキャリア

パラアスリート伴走者のセカンドキャリア【前編】

日野美奈子さん

こんにちは!マイナビアスリートキャリア広報担当の渡邉です。
今回はセカンドキャリアのサポートをさせていただいた日野未奈子さんと、日野さんの担当キャリアアドバイザーを務めた鍵さんの対談です。
前編・後編がございますので、ぜひご覧ください!

日野さんのプロフィール

経歴

立命館大学 産業社会学部 現代社会専攻
立命館大学大学院 社会学研究科 応用社会専攻

株式会社みずほフィナンシャルグループ 入社
コーポレート・コミュニケーション(広報)部
・所属パラアスリート活動のサポート
・社内外向け啓発イベントの企画・運営

競技歴

中学から陸上競技を始め、インターハイ・全国高校駅伝に出場
大学時に視覚障がい者マラソンの伴走活動を始め、2016年リオパラリンピック5位入賞

対談スタート

まずは、アスリートキャリアを利用したきっかけを教えてください!

日野さん:自力での転職活動が上手にいっていなかったからです。転職活動自体は2021年8月くらいから少しずつ始めていて、自力で企業を探したり履歴書を作ったりしていました。学生時代から憧れていた志望度の高い企業も受けていたのですが、最終面接で落ちてしまいました。そこで自分のキャリアの振り返りや強みを改めて見直さなければならないと思い、専門的な知識を持ったエージェントを色々探していたところ、マイナビアスリートキャリアを見つけました。

そこで鍵さんが担当になりましたが、鍵さんの印象はいかがでしたか?

日野さん:登録してすぐに鍵さんのプロフィールと一緒にご挨拶のメールが届き、ご経歴や人となりを知れたのですごく安心して相談できました。他のエージェントも登録していましたが、やっぱりスポーツを通じて今のキャリアに就いている鍵さんは話に共感してくださる部分が多く、最初の面談から信頼できたというのが印象です。

鍵:そうだったんですね!嬉しいです・・・!

他のエージェントは、スポーツ系エージェントではないところに登録されていたんですか?

日野さん:はい。ですが私の場合、今までのキャリアが求人の必須条件とマッチングしていなかったり、希望勤務地が愛媛県という場所的な制約があったりして、エントリーできる企業すら見つからない状況でした。それもあって登録してもなかなか担当者から連絡が来ず、エージェントに対して半信半疑な思いを持ってしまっていたのですが、鍵さんとお話をした際にはそういった不安もすべて受け入れてくれ、「私が必要としていたのはまさに鍵さんのような方だ!」と思いました。当時はすがるような気持ちだったのを覚えています。

鍵:素直に嬉しいです・・・。


鍵さんは、日野さんの印象はいかがでしたか?

鍵:僕は初めてお会いする方を事前に調べてからお会いするようにしているのですが、『日野未奈子』と調べるとたくさん記事が出てくるんです!その記事を読み、「素晴らしい方だな」というのが会う前の印象でした。もちろんご経歴もですが、競技の内容、お仕事の内容、考え方などを含めてすごく素敵な方だなと感じました。
実際会ってみたときの第一印象はすごく柔らかい方。コミュニケーション能力も長けているなと感じましたが、その反面、転職活動に苦戦しているんだなと感じる部分もありました。

どんなところで転職活動に苦戦していると感じましたか?

鍵:先ほど仰っていた、自己応募で落ちたことや、思うような企業に出会えていないところなどですね。実際、お話を聞いた時点では、もしかしたら他のエージェントさんと同じく紹介できる企業が無いかもしれない、と感じましたが、それ以前の部分で僕ができることはたくさんあるなと思いました。短絡的な転職の支援ではなく、キャリアサポートのように、経験の棚卸や将来のキャリアについて、書類作成、面接対策など抱括的なサポートができればいいなと思っていました。

企業紹介以前のサポートも進めたのですね。

鍵:そうですね。もともとポテンシャルが非常に高い方なので、そのポテンシャルをどこまで引き延ばして、どういう風にキャリアデザインするかというのは深く考え日野さんと一緒にできたかなと思います。

では、実際初回の面談をしみて、印象はいかがでしたか?

鍵:コミュニケーション能力が高いなと感じましたが、逆に自己表現が苦手なのかなと感じました。日野さんがよく「スポーツしかやってこなかった」と言っていましたが、そこがめちゃくちゃ強みになるのに、日野さん自身は「大したことじゃないんです」とコンプレックスになっていたようで、自己表現や自分の強み、得意なことをうまく伝えられていないところがもったいないなと感じていました。

日野さん:私もまさに同じことを話そうと思っていました。高校、大学とスポーツ主体で進路を決めてきて、新卒の会社もそういった軸で進んでいたので、「自分で何かをしてきた」という感覚がなく、自分に負い目を感じて生きてきました。でも鍵さんが良い意味でそれを否定してくれ、ずっと背中を押し続けてくださったので、私もマインドが変わりました。以前は『伴走者としての日野未奈子』には自信を持っていましたが、その経験を活かして社会に出るということに対しては自信が持てていませんでした。相談したことで自信を持てるようになり、非常にありがたいきっかけになったなと思います。内定という形で目標は達成できましたが、それ以上のものを与えていただいたと思います。本当に感謝しています。
最終回のような話になりましたね・・・!笑

鍵:クライマックスみたいですね・・・!笑 でも、これ以上に嬉しいことはないです。


お二人の関係性や信頼が伝わってきました・・・!

転職活動の進め方

転職活動はどういった進め方をしましたか?

鍵:日野さんは現職中だったのでスケジューリングの部分はこだわりました。12月末に現職を退職され、1月から実家の愛媛に帰られるということだったので、それまでに内定を取るという逆算をしながら、じゃあ今はどういう風に時間をかけていこう、というところは気を付けていました。
あとは、日野さん自身、考える能力が非常に高いので、その考えた結果どうしたいのかというところを伺うようにしていました。また、日野さんの中で「愛媛で働く」ことが強い要望だったので、キャリアを短期的に見るのではなく、最終的になりたい姿を実現するための1歩目になるような企業選びを大事にしました。そこが自分としては良かったかなと思っています。

日野さんはいかがですか?

日野さん:私は今の会社(前職)の業務内容に何ら不満のない状態での退職で、自分の中でも何かやりたいことがあって転職するわけでもなかったので、そういった面でも負い目に感じてしまっていました。きっとこれも企業の面接官に伝わってしまうよな、と思いながら転職活動を始めていたので不安定なスタートでした。
本当に何をしていいかわからないし、どのベクトルで頑張れる人間なのかもわからなかったので、まずはそういったことを整理するところから始めました。キャリアも諦めたくないですが、愛媛に帰ってからは全国転勤のないところを希望していたのでなかなか難しく、揺れる思いがあり辛かった時期もありました。大きな事業をしていたり母体が大きかったりする企業のほうが自身の性格には合っているのですが、愛媛だと限られたり、大きな会社に挑戦してみても全国転勤があったり・・・。やっぱり諦めないといけないなと自分で可能性を潰してしまっていました。

そのタイミングでアスリートキャリアに相談されたんですね!

日野さん:はい。「お願いします」と身を投げたような形になりましたが、鍵さんは私の悩みや不安な心情なども汲み取ってくださって、肯定しつつ会社を紹介してくださいました。仕事を変えるということで理想と条件のはざまで揺れる部分がありましたが、本当に1つ1つ聞いてくださって、安心に繋がりました。最後の方は「鍵さんのためにも内定を取りたい!」という思いもありました。もともとお互いアスリート気質なので気持ちを高めあいながら進められたように感じます。

鍵:僕も最後の方は、「一緒に内定を取りにいくんだ!」という気持ちでした。同じ熱量でできたのはすごく嬉しかったですね。



理想と条件を叶える会社とは?

理想と条件のはざまで揺れる部分があったとのことでしたが、どうやってクリアにしていったのでしょうか?

鍵:日野さんの要望が100%叶う条件ほとんどないので、まずはそれをしっかりとお伝えしました。また、叶えたい理想は直近の未来と先の未来で全く違うと思うので、1段1段階段を登っていく上での「1段目」をどこに設定するのかをたくさん話し合いました。すべてを叶えることはできませんが、その1歩目により合いそうな企業を提案させていただきました。

日野さんはどのように整理していきましたか?

日野さん:理想としている姿と現状の自身が持つスキルで見てみたときに、営業のお仕事は自分にはできないと先に扉を閉ざしてしまっていたのですが、鍵さんと話していくうちに、今までの仕事や伴走者での経験を少し言葉や考え方を変えるだけで営業に繋がる部分があると気づきました。1人では受けようと思わなかった企業にもチャレンジできたことが、クリアにできた1つの点かなと思います。

ご自身の職務経歴にも少し負い目を感じていたんですね。

日野さん:はい。私は走っていただけだと思っていましたが、改めて考えてみたときに、例えばパラアスリートとの関係を築いたり、宿泊先の予約をしたり、選手の移動を支えたりなど様々な壁を乗り越えて頑張っていたなと思いだしました。そこを次のキャリアにも活かせるということをアドバイスいただいて、職務経歴書に落とし込むことができました。

鍵さんはどういったアドバイスをされましたか?

鍵:日野さんがやってきたことは変わらないですが、それをどういう風に伝えるかで受け取られ方が違うので、伝え方を意識しましたね。日野さんが普通だと思っていることが数字にしてみたら凄いことだったり・・・そもそも社会人2年目で講演会をしていた方なんてあまりいないですし、世界大会にもでていますし、そういったすごい経験を引き出すようにしていました。

日野さん:自信がないのであれば、自分は頑張ってきたつもりだけどなにかキャリアに活かせないか、という切り口でエージェントに相談するのもいいかもしれませんね。ただ競技をしてきただけではないので、自分の経験を掘り起こしてみると、転職活動につなげられると思います。

内定先を決めた理由

最終的に、入社を決めた理由はありますか?

日野さん:もちろん福利厚生なども理由としてありますが、自分の希望として、どの会社に行っても通用するようなスキルや経験を身に着けたいという希望があったので、その1歩目として対企業の方たちに交渉していくような営業活動は自分のキャリアが豊かになると思い決めました。あとは人生で1回は営業を経験したかったからです。普通の同期よりは社会人デビューが遅かったのもあって、成長し続けられそうな営業を選びました。

鍵:これはすごいことですよね。日野さんの今までのキャリアを考えたら、あぐらをかいてもいいくらいだと思いますが、根底には負けず嫌いな部分は感じましたし、だからこそもっと成長したいという思いに答えたいと思いましたね。

日野さん:やっぱりそこには障害者スポーツに触れたというのもあるかもしれません。伴走者の認知度はまだ低く、まだまだ存在を知られていないので、いろんな人と出会って交渉や衝突をしながら営業していくという苦労は、伴走者の活動を理解してもらうところからスタートするような経験ができたことが大きいと思います。

今回は以上になります。続きは後編へ!

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