アスリートインタビュー

中野瞳選手(陸上競技・走幅跳)

つくば分析センター所属

こんにちは!渡邉ひかるです。
今回は、前回の石塚晴子選手よりご紹介いただいた中野瞳選手にインタビューさせていただきました!

目次

中野瞳選手
つくば分析センター
陸上競技(走幅跳)

プロフィール

個人事業主として複数の企業にサポートを受けながら競技活動をされており、2021年11月よりつくば分析センターがメインスポンサーについています。

経歴

日本高校記録保持者
高校2年生 
インターハイ 走幅跳 優勝 
100m 2位

高校3年生
国民体育大会 優勝 
日本ジュニア陸上競技選手権大会 優勝
日本高校記録樹立

大学1~3年生
関東インカレ 優勝

大学院
全日本インカレ 優勝
2019年アジア選手権日本代表

社会人
全日本実業団 優勝 など

ご自身のスタイルを貫くため、企業や団体へ自ら営業活動し、スポンサーなどから様々なサポートを受けている中野さん。競技に対する想いや、ジャンプフェスティバルのことについても伺いました。

インタビュー

Q:普段のスケジュールを簡単に教えてください。

午前中は個人練習・午後は高校生との合同練習に参加しています。
練習は高校生のスケジュールに合わせていますので、空いている時間でジャンプフェスティバルの運営・論文作成・その他仕事を行っています。今のコーチの元での活動を第一優先にしているので、自由な働きかたができる今の環境が自分に合っていると思っています。

Q:競技に対する想い、モチベーションはどんなところにありますか?

高校生の頃は勝つことや記録が出ることがモチベーションで、それしか楽しみがなかったように思いますが、大学生からはトレーニングについて学びながら、自分の体が変化したり昨日できなかったことができるようになったりすることが楽しくなりました。その頃から、自分の跳躍を作り上げることがモチベーションになっています。もちろん競技者として、記録を出すことや日本代表になることは目標の1つですが、「自分はどれだけ跳べるんだろう?」という好奇心がモチベーションになっています。

Q:大学の頃から自分の跳躍を研究するようになったのですか?

大学に入学する前までは感覚でしか跳躍をしていなかったのですが、入学してからはトレーニングや技術を研究するようになりました。
大学の頃は記録にばかりこだわっていましたので、高校の頃の記録を超えられていないことに劣等感感じてしまっていました。自分に価値がないと思ってしまっていましたね。

Q:そんなスランプのような状態をどうやって乗り越えましたか?

井村久美子さん(走幅跳びの選手。女子走幅跳の日本記録保持者。現在は現役を引退されています。)に「記録が良い時も、記録が出ない時も、あなたの価値は変わらないよ」と言って頂いたことが大きかったです。肩の力を抜くことができて、過去と比べずにここからどう変わるかを楽しめるようになりました。

所属している会社やスポンサーの方々は、アスリートが「成績が出なくて申し訳ない」と思っていたら応援していて辛いと思います。どんなに悪いときでも、思い切って挑戦したり、できる限りのことをしている姿勢や、過程を見せることが大事かなと思います。

スポンサーをもらっている理由

Q:実業団ではなく、スポンサーをもらって競技をしている理由はありますか?

自分がやりたいことを実現できる環境を作りたかったからです。私は正社員として安定してお給料をもらって続けることがしんどいと感じたり、融通が利かないところがあったりしたので、スポンサーとして1年契約にしていただき、自分に価値があれば契約を継続していただくというスタイルにしています。

Q:「自分がやりたいことを実現できる環境」とは具体的にどういったものですか?

海外へ行くことや、論文の作成、ジャンプフェスティバルの活動などをしたく、これをすべて実現できるのがスポンサーでした。自分が強くなるためにはどうしたいかを考えた結果、このスタイルになりました。最初は「本当にお金をもらっていいのかな」と感じていたので物品提供からスタートし、少しずつお金をもらうようになっていきました。
以前は「こんなにサポートしてもらっているのだから・・・」と感じていましたが、現在では、「スポンサーのために頑張りたい!」と思うようになり、上手くいかない時でもプラスのエネルギーをもらっています。

競技をしていてぶつかった壁

Q:競技をしていて辛かったことはありますか?

私は人の目を気にする性格で、周りからどう思われるかを基準に様々なことを選択するようになってしまっていました。自分の人生を生きている感じがせず、なぜ陸上をしているんだろう?なぜ生きているんだろう?とどん底に落ちた時があります。
でも時間が解決してくれて、私は自分の人生を楽しむために生きているし、周りの目を気にせず自分が生きたいように生きよう!という考え方に変わりました。

社会人になって学生の頃とは違った環境に戸惑って「走る意味」が分からなくなる選手はたくさんいると思います。でも頑張って乗り越えた先には、見えてくるものがあると思います。

Q:競技をするにあたって大切にしている事はありますか?

等身大の自分と向き合うことです。
例えば調子が悪くて走れていないとき、「それでも自分の強みは助走のスプリントだ!」と決めつけてしまうと、多分思うような結果は出ません。これは日常生活出も同じです。私は持病があることもあり無理は禁物なので、人生の教訓にもなっています。

Q:病気や今までの辛かったことは「もう乗りえた!」という感じですか?

乗り越えては無いかもしれませんが、病気もつらいことも人生の一部だという考えに変わりました。うまくいかない時期が多かったけど、その分いろんなことを学ばせてもらったし、記録の出ない苦しさや辛さ、頑張っても結果は必ず出るわけではないということを知れました。

それに、壁があったほうが面白いと思います!乗り越えることが多い分やりがいや生きがいが生まれて、「ありがとう!」と思います笑

Q:同じように壁にぶつかっているアスリートにアドバイスなどあればお願いします!

自分がどう生きたいかを見つけることができれば迷ったり劣等感を感じたりせず生きられると思います。でも、なかなか難しいので、経験してきた先輩の話を聞きに行ったり相談したりすると良いと思います。
また、そうやって後輩に還元する流れができたらもっと陸上界やアスリート界が良くなると思います。自分の経験を社会・後輩に還元することまでが競技生活だと思っています。
待っていてもチャンスや縁は来ないので、自分から動いて掴んでいくべきだと思います。

ジャンプフェスティバルについて


JR新長田駅南側、若松公園内に設置されている、直立時の設定が18mにも及ぶ「鉄人28号」の巨大モニュメントの前で大会を開催。
ジャンプフェスティバルの詳細はジャンプフェスティバルのHPをご覧ください!
https://jumpfestival.jp/

Q:ジャンプフェスティバルはどのような想いで発足したのでしょうか?

先ほどの質問にもあったように、悩んでいるアスリートへなにか還元したりサポートしたりできないかという想いから立ち上げました。もっともっと跳躍競技が魅力的になったらいいなという想いと同時に、困ったり迷ったりしたら立ち寄れる場になったらいいなと思っています。

ジャンプフェスティバルに悩んでいる人が参加し、選手やスタッフ同士で話すことによって解決することもあると思います。駆け込み寺のような団体になることを目指しています。

Q:今回は大きなモニュメントの前での開催だったと伺いました。何か理由はありましたか?

駅前広場の鉄人モニュメントの前で高跳びを実施しました!競技場に来てもらうのは敷居が高いので、「来てください」という前に私たちが人の集まる場所で開催すればいいんじゃないかな?と思ったからです。

Q:反応はいかがでしたか?

思ったよりもたくさんの方が観戦に来てくれました。ご高齢の方なども足を止めてくれて、地域の方にも「こんなに手拍子してくれたのは演歌のコンサート以来!」と言ってもらえて笑 スポーツの力ってすごい!と改めて感じることができました。

※ジャンプフェスティバルについて、まだまだたくさんのお話を伺いましたので、続きは番外編で!

あえて競技以外に取り組む時間を入れている理由

Q:競技と活動の両立を始めるにあたって、不安はありませんでしたか?

ジャンプフェスティバルの運営をしようと決めるときに、競技にマイナスになるのではないかと思ったことはあります。でも実際やってみて、日々やりがいをもてたり、気分転換になったり、競技にいい影響を与えてくれていると気づきました。特に今回は地元での開催で、以前からの知り合いの方に声をかけることもあったのですが、私のことをこんなに見てくれていたんだ!と気づくこともできたので、本当にやってよかったです。

Q:仕事と競技の両立はするべきだと思いますか?

練習は24時間やっているわけではないし、24時間やり続ける方が難しいと思います。アスリートは練習や試合以外の時間が比較的多くあるので将来のための準備や競技以外での仕事はするべきだと思います。そうすることで社会との関わりも持てますし、私はあえてそういった活動のための時間を入れるようにしています。

Q:最後に、今後の目標を教えてください!

まずはアスリートとして、自分の跳躍を作り上げたいです。そして引退したあとは、どのような形かは決まっていませんが、挑戦するアスリートの力になるようなサポートをしたいと思います。
今はあと2~3年でやり切りたいなと思っていますが、陸上が大好きなので、多分ずっと跳び続けて自分の跳躍を追い求めていくと思います。

取材後記

今回はつくば分析センターの中野瞳選手にお話を伺いました。
キャリアと競技の両立に悩む方も多いかと思いますが、中野選手のように、自ら行動を起こすことがとても大切なのだと改めて感じました。一流の選手じゃなくても、自分のやりたいスタイルで競技を続けられる!ということを証明し、アスリートとしての在り方を見つめなおす中野さんは、陸上界だけでなくスポーツ界、アスリートにとてもいい影響を与えてくれる存在だと思います!
取材にご協力いただきありがとうございました!

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