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フットゴルフアジアチャンピオン(団体)が語るスポーツの価値 ‐「楽しさ」のプラスの動力が周囲を動かした‐
スポーツ経験は、スポーツだけに還元されるものではなく、社会で生き抜くチカラに変換されていきます。
過去にスポーツをしていた、または現在もあるスポーツで活躍している人は、どのようにキャリアを選択して今、輝いているのか。
アスリート自身の経験談から「次の一歩」のヒントを得ていきます。
山縣 祐人(やまがた ゆうと)
フットゴルフ 東京ヴェルディ所属
幼少期から兄の影響でサッカーを始める。中学生の頃は有名クラブチームの下部組織に所属しサッカーに励む。社会人までサッカーを続けていたが、友人からフットゴルフを紹介され体験会に参加したことをきっかけに競技を始める。
現職はグラフィック事業の営業職に従事。フットゴルフと仕事を両立しながらデュアルキャリアの道を歩む。
―経歴
2010年 富士フイルムグラフィックソリューションズに入社
2015年 フットゴルフと出会う
2017年 富士フイルムデジタルプレスに出向
2024年 フットゴルフアジアカップ団体戦優勝
スポーツ経験と今
ー山縣さんの今までのスポーツ経験を教えてください。
幼少期から社会人までずっとサッカー一筋でした。今思えば兄の影響で常にサッカーが身近にあったので、サッカーをすることが必然的な環境でした。中学生の頃にクラブチームへ入り、本格的にプロサッカー選手になることを目指して練習していました。競技人口が元々多いスポーツなので、ライバルも多かったですが、常に楽しんで競技に励んでいましたね。
ー現在の仕事はどのようなことをしていますか?
現在は、富士フイルムデジタルプレス(以下FFDP)という会社で営業を担当しています。FFDPで取り扱う商品「Jetpressシリーズ」はお客様の経営に大きな影響を与える高額な商品提案なので、お客様との信頼関係を築くことは何よりも大切です。信頼関係を築くために「本音で話すこと」「スピディーな対応をすること」この2つを意識して行動しています。
気付けば魅了されていたフットゴルフ
ーフットゴルフとの出会いを教えてください
大学時代の友人がSNSでフットゴルフの存在を知り、体験会に誘われたのがきっかけです。その体験会を通してフットゴルフに魅了され、どんどんはまっていきました。フットゴルフに出会った当時は当時はサッカーも続けていましたが、フットゴルフの奥深さを知り、トップに立ちたいという意欲が湧きました。その意欲が原動力となり、今に至ります。
ーフットゴルフとはどのような競技でしょうか?
サッカーとゴルフを融合させたようなスポーツです。ゴルフボールの代わりにサッカーボールを使い、ゴルフクラブの代わりに足を用いる、ゴルフ場でできるスポーツです。2009年にオランダで誕生して、2012年にはワールドカップが開催されました。その後2014年に日本に上陸してきたスポーツです。ルールも簡単な上に道具もボールだけでいいので、老若男女が楽しめる競技になっています。
(詳しくはこちら:https://www.jfga.jp/basicrule)
ーフットゴルフはどういった特徴がありますか?
自分の蹴ったボールが転がってどこに止まるか、高低差がある中でどんな転がり方をするかを想定しなければならないところが大きな特徴だと思います。サッカーはボールを取り合いゴールを目指すスポーツですが、フットゴルフはボールをグリーンに乗せてカップに入れる、というゴルフの要素が強いスポーツです。蹴り先に味方はいませんし、ボールを取りに来る敵もいません。幼少期からずっとサッカーをやってきたのでボールを蹴ることにはそれなりに自信がありましたが、フットゴルフで必要な距離感や独特なコントロールはサッカーとはまた違うので、日々練習を重ねています。
また、サッカーはチームスポーツですが、フットゴルフは個人スポーツです。自分自身のメンタルマネジメント力も必要だと思っています。メンタルマネジメント力が試合の結果に顕著に出るのもフットゴルフの特徴かもしれませんね。
ーフットゴルフにはどのような選手が多くいますか?
フットゴルフ選手は過去に他のスポーツを経験されている方が多いんです。色々な競技経験者がいるからこそ、視点や戦術、考え方、思考の得意不得意の違いはフットゴルフを通して感じることが多いですね。自分に無いものを持っている方とお話しし、競技を共にすることは非常に新鮮で奥深く、とても勉強になるので、日々刺激を受けています。
ーフットゴルフの選手として意識していることはありますか?
状況や戦術の判断など、とにかくインプットとアウトプットをすることが多いスポーツなので、情報や戦術の取捨選択を迅速にできるよう、「常に頭を回転させること」は心がけています。これはフットゴルフだけではなく、仕事でも同様かなと思っています。
お客様との関係性を第一に二人三脚で育むソリューション
─続いて、現在の仕事について教えてください。
現在はグラフィック事業部の営業をメインに行っております。取り扱っている商材としては、1台1億~3億円の機材で、システムまで提案すると約6億円の規模にもなる非常に大きな商材です。
商材規模が大きい分、お客様との関係構築に時間をかけることを大事にしていて、商談が長期化することがほとんどです。お客様にとっての最善案は何か、常に同じ目線に立ちながらソリューションの提案に日々励んでいます。
─仕事のモチベーションやりがいはどんなところにありますか?
商材が大きいこともあり、お客様の経営に関わる部分に携わらせていただける点が自分自身のやりがいになっています。実際に経営者や工場長、営業部長や企画営業部の方々と直接お話させていただく機会があるのは、とても貴重です。そういった場に営業という仕事を通して携われることに刺激を感じています。
また、私が所属している営業チームは7名で構成という、決して大きなチームではありません。ですが少人数だからこそ、チームで助け合いながら、周りの人を巻き込みつつ協力して業務に励んでいます。少人数でありながらも、売り上げ自体は数十億円という、数字が伴っている点も、確実に次のステップへの活力になっていますね。
周囲の理解があってこそ成り立つ、デュアルキャリアの働き方
ー仕事と競技を両立する中で、大事にしている考え方はありますか?
仕事にしても競技にしても“やりきること“にはこだわっています。
デュアルキャリアという働き方は、周りの方の理解や協力がないとできないことです。自分の周りには協力的な方ばかりが居てくれて、最高の環境で仕事も競技もできていると思っています。今の自分の環境に感謝をしつつ、結果という形にして応えるためにも仕事と競技の両方を全力で粘り強くやりきることは、自分の中で大事な主軸になっていますね。
ー周りの方々の理解があってこそ今の山縣さんがいるのですね。
そうですね。今、全力で取り組める環境を作ってくださっていることに感謝しています。特に仕事では大会出場で長期間仕事を空けてしまうときもありますが、周りの仲間がフォローしてくれたり、競技に専念してほしいと背中を押してくれたりします。そういった環境が競技に打ち込める外的要因になっています。今の環境がなかったら、仕事も競技も100%で挑めていないと思うので、本当に環境に恵まれていると思っています。
スポーツ経験を通して得た粘り強さ
ー今までご経験されたスポーツと仕事で共通して活きているチカラはありますか?
「粘り強さ、忍耐力、最後まで諦めない力」ですね。仕事にしても競技にしても、失敗から学び、次にどう取り返すかを粘り強く、忍耐強く、考えやり続けることは双方に活きているチカラだと感じています。
ーそのチカラに関して詳しく教えてください。
競技面の話になりますが、“ミスをした時のスイッチの切り替え”を意識しています。元々は活躍している選手の切り替えの早さに非常に感化され、自分も「常にミスを想定内」と考えるようにして、反省は試合の後や一区切りついた後にする意識づけをしました。ここでスムーズにスイッチの切り替えを行うことで、起きてしまったミスに関して改めて向き合って考えることができますし、それが粘り強く考えやり続けることに繋がると思っています。
スポーツの価値は「楽しさ」がもたらすプラスの原動力
ー山縣さんにとってスポーツの価値とは?
シンプルに「楽しさ」だと思います。
振り返ってみると、今までの人生でサッカーに対してもフットゴルフに対しても、根本的に「辞めたい」とか「嫌だ」などマイナスな気持ちになったことはありませんでした。自分はこれまで上を目指せば目指すほど、ワクワク感や達成感が「楽しさ」に繋がっていたように感じます。また、思考力や判断力、精神力、そしてコミュニケーション力を形成していく上でも「楽しさ」はプラスに働いてくれるので、自分が競技を続けていく上で必要不可欠な価値になっています。
今の山縣さんから見た、フットゴルフや自身の未来
ー今後のフットゴルフ界に期待することを教えてください。
フットゴルフは個人競技ではありますが、チームスポーツとしても楽しめます。その魅力を根付かせ、競技人口を増やしたいと思っています。
実際に女子フットゴルフ日本代表は、2023年の世界大会の団体戦で、世界一位の称号を手に入れています。ただ、今の国内大会は団体戦が少ない状況です。今後は団体戦も増やしていくことでチームスポーツとしての認知も高めつつ、世界に勝てる競技力を全体的に伸ばしていけたらと考えています。まずは今のフットサルくらい気軽なスポーツとして認知が高まってきてくれると嬉しいですね。
ー山縣さんご自身の今後の展望は?
2028年のロサンゼルス五輪の競技種目候補として挙がっているので、まずはそこで日本代表として選出されたいと思っています。「競技を楽しむ」ことを大事にしている一方で、「日の丸を背負いたい」気持ちも常にあります。結果を残せるよう、今後も1つ1つの大会に集中していきたいです。
また、この“デュアルキャリア”という働き方ができているのは、自分に関わってくださっている周囲の皆さんのお陰なので、周りの方々との信頼関係はこれからも大事にしていきたいと思っています。基本的なことですが、正直であること、対応スピードの速さは引き続き心がけて行動していこうと心に決めています。
最後に読者にメッセージ
自分自身、何歳になっても何かに挑戦すること自体は続けていきたいと思っています。
何かをしたいと思ったとき、先に諦めてしまうのではなく、一度やってみて、それから判断するのでも全然遅くないです。一歩踏み込んでみる勇気を大事にしてください。
また、これを機にフットゴルフに少しでも興味をもってもらえると嬉しいです!
(アジアカップ団体戦での優勝後のお写真|最前列右から2番目 山縣さん)
編集後記
今までスポーツに対してマイナスな感情を持ったことがなく、常に「楽しさ」を原動力に、成長をし続けている山縣さん。常に「楽しさ」が山縣さんの根底にあるからこそ、周囲の方々は応援したい、頑張ってほしいと背中を押したくなり、素敵な関係ができているのだと思います。まさにデュアルキャリアの働き方として理想の姿だと感じました。
フットゴルフアジアカップでの団体戦優勝おめでとうございます!
これからも応援しています。インタビューにご協力いただき、有難うございました。
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