アスリートインタビュー

福永凌太選手(パラ陸上競技)

中京大クラブ所属

こんにちは!渡邉ひかるです。
紹介でつながる『アスリートリレーインタビュー』
今回は、前回の所杏子選手よりご紹介いただいた福永凌太選手にインタビューしました!

福永凌太選手
中京大クラブ所属
パラ陸上競技


写真:本人提供
世界選手権のレース中のお写真。
400mで金メダル、男子走り幅跳び銀メダル獲得されました!!おめでとうございます!

プロフィール

中京大学の職員として働きながら同大学のコーチをし、さらに自身も競技を行っている。錐体ジストロフィーにより、小学校4年生頃から目が見えづらくなっていったものの、大学在学時は健常者と同じように競技(十種競技)を行い、卒業後にパラ陸上競技へ転向。視覚障がい(T13)クラスで200m、400m、走り幅跳び、円盤投げの4種目の日本記録と、200m、400m、走り幅跳びの3つのアジア記録を持つ。7月に行われるパリ2023世界パラ陸上競技選手権大会でも400mと走り幅跳びで日本代表に初選出。

Q:普段のスケジュール・仕事内容を教えてください。

基本的に9時~17時が定時になりますので、出社後の9時半から午前中は練習をさせてもらい、午後からは職場に戻って仕事をしています。新卒で入社した頃は9時~17時までのフルタイム勤務のあとに練習をしていましたが、少しずつ結果を残せるようになって、競技のことを理解していただけるようになり、今はかなり自由に調整させていただけるようになりました。

Q:競技を続ける決断に至ったきっかけはありますか?

実は、家族とのふとした会話がきっかけになったんです。
大学に入学したときから「世界大会で活躍するような選手になりたい」と思ってはいたものの、今の成績では世界には程遠く、練習に注ぐ時間が足りないと感じていました。かといって実業団に入れるような記録も持っていなかったので、第一線から離れて、陸上競技は趣味として続けようかなと考えていました。そんな時に実家に帰り、家族と話しているなかでふと、「パラ陸上で続けてみたらいいんじゃない?」と言われ、記録を調べてみると、当時の自分が持っていた記録で、日本記録を超える種目がいくつかあることや、パラリンピックの決勝へ進出ができたり、メダルを獲得できるラインに自身が立っていることを知りました。険しい道のりではありますが、諦めかけていた「世界大会で活躍するような選手になりたい」という夢よりも、さらに高いところへ行けるかもしれない!と知り、とてもワクワクし、パラ陸上として競技を継続することを決めました。

Q:現在の仕事について教えてください。

大学職員の一般職として仕事をしています。スポーツ振興部に所属し、部活動の管理やイベント運営の手伝い、学生の予算立てのサポート、データ入力等を行っています。今は大学の陸上競技部のコーチも行っているので、学生が練習をする時間はグランドへ行って指導もしています。また、学内の学生に向けたセミナーなども担当しています。

Q:仕事で大切にしていることはありますか?

仕事と練習でメリハリをつけることです。午前中は練習をさせてもらっていて、午後の時間に仕事をしているので、より集中して仕事をするように心がけています。また、セミナーをしたりコーチをしたりと、学生と近い仕事を任されていますので、どうしたら学生たちが興味を持ってくれるかや、どう伝えたら理解しやすいかなどを常に意識しています。自分と学生の常識や感覚は全く違うと思っているので、例えばセミナーであれば終了後にアンケートをとって、学生の意見を次回に反映させるなどして、常に改善をしています。

Q:競技に対してはどのようなモチベーションを持っていますか?

今までの人生でモチベーションが下がる時がほとんどないということもありますが、まず陸上競技が大好きなので、続けていること自体がモチベーションになっています。陸上競技は、他の競技に比べると練習で楽しいと思えるようなことが非常に少ないと思います。しかし、同じことの繰り返しや、きついメニューも含めてとても好きです。さらに、世界一や世界記録を目標に活動しているので、そこもモチベーションになっています。
また、もう1つの目標として、目の前の人たちに影響を与えられるような人になりたいと思っています。昔から人前に立つことが好きですし、僕が頑張っている姿を見せることで、様々な感情を届けることができると思っています。僕が陸上を続けることで、誰かが陸上競技を始めたり、応援に来てくれたり、競技全体のレベルが上がったりするかもしれない。そういった人を一人でも増やしたいという気持ちもモチベーションの1つになっています。

Q:デュアルキャリアで大切にしていることはありますか?

今は勤務時間を短くしていただいているのですが、社会人1年目の頃は通常勤務の後に練習をしていたこともあり、練習で身体を動かすこととは別の疲れを感じることもありました。当時は練習時間も限られていたので、時間を大切に使うようになりましたね。何時間も練習できないからこそ、短時間で必要な練習を終わらせるように心がけていました。
この時間の無い中で練習をしていた経験はとても好影響を与えていて、当時散らばっていた意識を、「結果を出すこと」だけにフォーカスするきっかけになったなと、今振り返ると思います。その当時の環境の中でベストを尽くし、適応できていたなと思います。

Q:「結果を出すこと」にフォーカスとのことですが、具体的に意識していることはありますか?

時間の管理はもちろんですが、練習以外の普段の生活習慣の部分も大事にするようにしています。食事、睡眠をしっかりととることや、仕事以外の空き時間を競技スキル等のインプットに充てるなど、大学時代に疎かにしていた部分を社会人になってから見直すようにしました。
練習時間を多く取れるようになってからも大きく変わったことは無く、一貫して続けていて、日々新しいメニューなどを試して改善してを繰り返していくことで、今の結果に繋がったのかなと思います。

Q:7月の世界選手権にも出場される福永さん。(取材は6月実施)今後の目標を教えてください!

まず世界選手権での目標は、400mと走り幅跳びどちらもメダルを獲得することです。4位以内でパリパラリンピックの出場が近づくので、確実に狙いたいと思っています。
実は、東京パラリンピックも出場できる記録を持っていたのですが、手続き等の兼ね合いで出場できなかったり、翌年のアジア大会はコロナの影響で中止になったりと、これまで代表としての出場を逃してきました。そういったことがあった中でやっと世界の舞台に立てることが決まったので、「ついに自分の番が回ってきたな」という気持ちです。いままで溜めてきた想いがあるので、派手に盛り上げたいですね!
そして今の一番の目標はパリパラリンピックで世界一をとることです。あとは、陸上競技だけでなくもっと色々な競技にも挑戦してみたいとも考えています。色んな活動する中で、誰かに影響を与えられるような人になれたらと思っています。


写真:本人提供

まとめ(取材後記)

今回は中京大クラブ所属の福永凌太選手にインタビューさせていただきました。大学職員、コーチ、アスリートの3つの顔を持つ福永選手!仕事でも競技でも熱い想いを持ちながらも冷静に分析、改善を繰り返し結果に繋げられ、ついに代表戦へ!長く競技を続け3回のパラリンピックを経験できるのではないかとお話しされており、多くの方に影響を与える姿を見られるのではないでしょうか。これからのご活躍も楽しみにしています!
取材にご協力いただきありがとうございました!

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