すごいぞ、アスリート

ペア解消という選択。競技と真正面で向き合ったからこそ下した決断

岳野 春菜/星 寿奈(ラウンドネット)

スポーツ経験は、スポーツだけに還元されるものではなく、社会で生き抜くチカラに変換されていきます。
過去にスポーツをしていた、または現在もあるスポーツで活躍している人は、どのようにキャリアを選択して今、輝いているのか。
アスリート自身の経験談から「次の一歩」のヒントを得ていきます。

岳野 春菜(たけの はるな)
ラウンドネット
フリーランスの仕事と競技をかけ持ち、デュアルキャリアとして活躍中。
幼少期から運動が好きで、陸上やバドミントンなど複数の競技を経験。
友人を介してラウンドネットと出会い、星さんと共に2022年の12月から本格的に競技を始める。


星 寿奈(ほし じゅな)
ラウンドネット
岳野さんと同じく、フリーランスの仕事と競技をかけ持ち、デュアルキャリアとして活躍中。
雪深い地域に生まれ、2歳からアルペンスキーを始める。
高校卒業を機に競技から離れインストラクターになるが、上京してラウンドネットと出会い、同じシェアハウスのハウスメイトだった岳野さんと競技を始める。


スポーツ経験と今

―おふたりの今までのスポーツ経験を教えてください。
岳野さん)
元々幼少期から身体を動かすことが好きで、自ら色んな競技を選択してやっていました。小学校から中学校時代は陸上を、高校から大学時代はバドミントンを経験しました。今はラウンドネット一筋なので、どの競技もほとんどやることはないですね(笑)
 
星さん)
私は雪国に実家があって、スキー場が家の近くだったこともあり、2歳から高校生までアルペンスキーをやっていました。高校卒業のタイミングでプレイヤーから離れて、約4シーズンほどインストラクターをしていて、上京を機に競技から離れました。今も実家に帰った際には趣味の範囲で滑ってます。
 
―現在の仕事は?
岳野さん)
現在フリーランスとして主に2つの仕事を担当しています。
1つがWEBサイトの運営ディレクター、もう1つが地方地域のファンコミュニティを創るコミュニティマネージャーです。割合としてはWEBサイトの運営ディレクターが8割から9割を占めています。
 
星さん)
私も岳ちゃん(岳野さん、以下岳ちゃん)と同じくフリーランスとして3つの仕事をメインにやっています。
1つ目がプロダクトを扱っている企業のサポート、2つ目がSNSのクリエイティブ制作、そしてSEOのブログ制作の3つです。企業サポートとクリエイティブ制作に関しては前職のつながりで引き続き担当させていただいています。

出会いが重なったラウンドネット

―ラウンドネットとおふたりの出会いは?
岳野さん)
Jさん(星さん、以下Jさん)と私、あと別の2人の合計4名でシェアハウスをしていたことがきっかけです。ラウンドネットに出会った当時は既にシェアハウスは解消してしまっていたのですが、解消後も何か4人でできる面白いことはないか探していた時に、Jさんが見つけてきてくれて、ラウンドネットに出会いました。そして偶然にもメンバーの知人にラウンドネットの日本代表がいることが発覚し、その方に体験会を開いていただきました。…流石に日本代表レベルの方が身近にいると知ったときは驚きながらも、何か縁を感じましたね(笑)
 
星さん)
本当にびっくりしたよね(笑)いくつものご縁が重なって、まさに出会うべくして出会った競技だと思います。
 
―縁を感じますね!因みにラウンドネットとはどのような競技ですか?
星さん)
2008年にアメリカで誕生した、2対2で行うスポーツです。
直径約1m、高さ20cmくらいの円形のネットとソフトテニスのボールより2周りくらい大きいボールを使用します。ネットに向かってボールを当てて相手に返す際、3回以内で味方とつなげながら返すのがルールです。
また陣地は分かれておらず、ネットの周りの360度全てが自分のコートになります。
瞬発力や頭脳ももちろん使いますが、味方とのコンビネーションも重要になってくるスポーツです。
(詳しくはこちら: https://www.roundnetjapan.com/home
 
 
―お二人が感じるラウンドネットの魅力を教えてください!
岳野さん)
やればやるだけできるようになる、といったところに成長の楽しさや面白さを感じる部分があります。これができるようになった”、“あの人に勝てるようになった”という喜びの積み重ねが競技の魅力にも繋がっていると思います。
 
星さん)
シンプルな競技である反面、奥深さがあるところでしょうか。ラウンドネットは陣地に制限がなく、戦法は自分たちで考え、“自分たちらしさ”を無限大に出すことができる競技です。また、ラウンドネットは競技レベルによって面白さがアップデートされていくスポーツだと思っています。色んな選手との対戦を通じて自身のできることが増えるほど、ラウンドネットの奥深いところにある本質が見えてくるので、とても魅力的な競技だと感じています。
 
―ラウンドネットとの出会いでご自身の変化はありましたか?
星さん)
生活リズムやライフプランに関しては、競技を始める前と比較して大きく変わったと思っています。すべてが競技のために行動するようになりました
その理由は悔しさ。好成績を残せると思っていた初めての大会で入賞できず、5位という結果で終わってしまいました。そこでは悔しさを感じながらも、今の練習量じゃ足りていなかったのだと現実を見ることができました。もっと練習を積めば更に上にいけるのではないかという希望も持ちながら、夜練だけでなく朝練も導入することを決めました。ここから本格的に競技中心の生活リズムになったと思います。
 
岳野さん)
最初の大会だったし、右も左も分からなかったとはいえ、すごく悔しかったよね。
お互い離れている場所に住んでいましたが、始業前の朝の8時くらいから公園に集まって練習していました。

(競技中のお二人|左:岳野さん 右:星さん)

競技を極めたいからこそ解消したペア

─一度ペアを解消された経緯があると伺いました。理由を教えて下さい。
岳野さん)
最初は同じタイミングで競技と出会ったので、ペアとして活動するのが自然でした。
トータルで3大会ほど一緒に出場し、成績自体も右肩上がりだったのですが、私もJさんも初心者だったので、何も分からない中、がむしゃらに、他の選手の見様見真似でやっていくしかない状況下にありました。お互い潜在的な部分で、今後の選手人生のためにも、一度解散して他の選手と色々な経験を積んだ方が、実力も付きやすくなるのではないかと思っていたのだと思います。自然な流れで解散する決断に至ったよね。
 
星さん)
そうだね。お互いの考えをすり合わせた上での決断でしたが、お互いの意見を反映する形で解散をしましたね。
 
―再結成は何がきっかけで?
星さん)
きっかけは、今年の5月にあった世界大会の選抜メンバーを決める大会です。10人が選抜される団体戦の他に、ランキングTOP4の選手が出場の権利を得られる個人戦という枠があります。私たちはその予選会に参加したタイミングが1試合分遅く、岳ちゃんは仮に優勝したとしてもペア同士でポイントを争うこととなり、今までの大会の総ポイント数でTOP4に入れないかもしれないという状況だったんです。個人的には、岳ちゃんは十分TOP4に入る実力を持っているのに、個人戦の代表入りが出来ないのは勿体ないという想いから、いろんな方法を模索・検討してみました。そしてふとあがってきた方法が、私とペアを組みなおすという案でした。大会の2週間前くらいまでかなり悩んだので、本当にギリギリの決断でした。
 
─本当に直前まで…。岳野さんの当時の心境的にはどうでしたか?
岳野さん)
正直ものすごく葛藤しました。自分の決断で、当時組んでいたペアの子は一人になってしまうわけですから…。ですが冷静になって振り返った時に、自分がここに至るまでに私とJさんの周りには沢山支えてくれた方々がいて、その人たちにここまで成長した2人の姿を見せたいとも思ったんです。お互い成長した状態でどこまでいけるんだろうという気持ちもありました。悩みも多く難しい決断でしたが、結局は自分が決める事。周りのハレーションを恐れるのではなく、最後は自分が本当にやりたい方を選択しました。本気でやっているからこその決断だったと思います。
 
─実際に岳野さんと再結成した時はどうでしたか?
星さん)
正直なところピタっとハマる感覚はなかったです(笑)
最初はペアだったとはいえ、一定期間ライバルだったわけですから。大会までの短い期間で当時の感覚を思い出しながら練習していましたね。結果的に完全優勝できたので、呼吸はしっかり合っていたのだと思います。


編集後記

前編では競技に関して出会いからペア解消、再結成までを語っていただきました。
ラウンドネットという競技に向き合い、それぞれが腕を磨くために選択した”ペアの解消”。
その選択を「正」にして今もプレーヤーとして活躍されているお二人の勇姿がとても素敵な印象でした。

後編では、フリーランスとして働かれているお二人のお仕事とスポーツがもたらす価値について語っていただきます。

すごいぞ、アスリートの関連記事

その他のカテゴリの記事