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元Jリーガー・鹿山拓真│スポーツ経験が自身の選択肢を広げる鍵
サッカーを引退後、「マイナビアスリートキャリアのキャリアアドバイザー」、「大阪体育大学大学院の学生」、「実業団チームのサッカー選手」という3つの顔を持つようになった鹿山拓真さん。この3つの顔で活躍するようになり約1年が経ちました。
「経験してきたことを活かせている」と語る鹿山さんの”今”を取材しました。
寄り添い、想いを汲み取るアドバイザーに
鹿山拓真(しかやま たくま)
小榊サッカースポーツ少年団、長崎南山中学校、長崎南山高校を経て、東海学園大学へ進学。
大学3年次の2018年3月7日、2019年からV・ファーレン長崎へ加入することで仮契約し、同月29日に特別指定選手に承認され、長崎に選手登録された。
同年4月4日のルヴァンカップ・グループステージ第3節サガン鳥栖戦で、公式戦初出場・初得点を記録した。
2021年7月24日、カターレ富山へ期限付き移籍。シーズン終了後に富山へ完全移籍。
2022年11月28日、現役引退を発表。
2023年株式会社マイナビ アスリートキャリア事業部に入社。同年、大阪体育大学大学院に入学。
―アドバイザーになってから約1年経ちましたが、この1年間はいかがですか?
僕が経験してきたことを活かせてるなと感じています。
僕はサッカーをする中で上手くいったことも、上手くいかなかったことも体験しているので、それを求職者の方に伝えながら寄り添うことができているのかなと思います。
―引退後に選択したキャリアアドバイザー(以下CA)の仕事について、この1年で何か変化はありましたか?
入社したての頃の”いっぱいいっぱい”だった部分がなくなり、求職者の話をじっくり聞くことがよりできるようになりました。
具体的には、自分が会話のボールを持つというよりはたくさん質問をして求職者主体で話していただき、しっかり話を聞いたうえで企業を提案などのサポートをすることを徹底できるようになったと思います。
一見関係のない話でも紐解いていくとその方の価値観や大切にしていることが見えてきて、そこをベースに将来どうなりたいか、時には老後どうなっていきたいかまで考えてから、「じゃあどんな会社に入りたいかを一緒に決めていこう」、という感じでサービスを提供しています。
―面談をしているアスリートや体育会学生の方々が抱えている悩みに共通点はありますか?
僕もそうだったのですが、やっぱり「スポーツ"しか"やってきていない」と考える方が多いです。ポジティブに捉えている人もいますしネガティブに捉えている人もいますが、そのような想いから「スポーツに関わるような仕事でしか活躍できないのではないか」と悩む方は本当に多いです。
そういった方々も前述したとおり質問をしながら自分自身がどのように考えているかを言葉にしてもらい、「その経験って他の職種や分野に活かすことができるんじゃないか」、「他の業界を知ることによってスポーツ界に間接的に関わり、良い影響を与える事もできるのではないか」と提案しています。
スポーツを通じて成功体験を積まれている方も多いので、なにかきっかけがあるとそこからモチベーションをもって就職活動・転職活動に取り組まれる方はすごく多いかなとは思います。
―スポーツの経験は色々な場面で活きるということですね。
そうですね。たとえ結果を出していなくてもスポーツを通じていろんな経験をしているはずです。未来を創造してもらうためにも、つらい経験や成功体験は社会に出るとこんな形で活かすことができるといった具体的な話はするようにしています。
例えばサッカー選手と面談する際は、1つの試合の中で成功と失敗を繰り返しているはずなので、その時にどう考えたのか、どんな行動をとったのかなど、本当に些細なことまで聞いていきます。
振り返る前に「こんな力が身に着いた」と決めるよりは、経験を一緒に紐解いて強みを見つけていく感じですね。あとは経験や強みを言語化することが苦手な方も多いので、そこは意識してしっかりサポートしています。
―1年前のインタビューではアスリートの可能性は無限大と話されていました。現在もその考えは変わりませんか?
変わらないですね。ただ、無限大の可能性を発揮するにはアスリート自身がスポーツ経験の価値を知り、他の世界を知ることが大切だと思います。そこに気づくきっかけになりたいです。
もっと学んで自分の“幅”を広げたい
―大学院生としても、約1年が経ちましたね。入学当初から心境の変化はありますか?
変化はあると感じますね。自分が知識を得ることによって、やりたいことがすごく増えています。先生からも、好奇心があって色んな事に興味を持てるっていうのは強みだと仰っていただいています。スポーツビジネスと心理学をかけ合わせたり、実際にスポーツの現場で働いている方たちからエッセンスを得たりしていて、専攻しているマネジメントやスポーツビジネスの分野は、これからも特にたくさん学びたいと思っています。
―「大学院生としてやりたいこと」とは、具体的にはどんなことですか?
もちろん研究を続けたいのですし、実はいずれ大学の教授になりたいと思っています。
マイナビに入社して人材の仕事にも関わっているため、教授としてもう少し前の段階(中高生年代)でスポーツを支える側や見る側の視点から、いろんなビジネスの話をすることで、アスリートやスポーツ経験者が仕事を選択する際の幅が広がるんじゃないかなと思っています。
スポーツと関わりたい方がたくさんいると先ほど言いましたが、関わり方を”知らない”というのが大前提あると感じています。もっと視野を広く持ち、スポーツを支える分野があることや、経験したスポーツで培った力があること、その力がスポーツ以外でも活かせることなどを早めに知ったほうがいいのではないかと考えています。そこでは、僕自身の経験も活かすこともできると思っています。
―"学び直し2年目"はどのように過ごしていきたいですか?
2年目は自分の幅をもっと広げる期間にしたいなと思っています。
自分自身、まだ経験や知識が足りないなと感じています。現在、スポーツマネジメントはもちろん、心理学や陸上競技のトレーニングを教えている先生の教育分野のカリキュラムも受講しています。その講座では実際にトレーニングを教えているコーチの方や実施している選手もいて、僕は全然知らないことばかりなんです。最初は何を言っているか分からなかったです(笑)この講座だけでなく、大学院に入学したことによって「知らないことがたくさんある」ということをより認識したという感じでしたね。
最近は広告を見た人はどんな感情を持ちどう動くのか、といった心理学とマネジメントを掛け合わせたようなカリキュラムにも取り組んでいます。
経験豊富な先生方に追いつきたいですし、自分自身の幅を広げる期間というところでも、色々なカリキュラムに触れていきたいですね。
―学び直しや新しい知識を取り入れ、視野が広がりますね。
僕の今の環境ってすごくありがたいなと改めて思います。
スポーツ選手やスポーツに関わった人材は、やはり他のところでもその経験を活かす能力を持っている方が非常に多いと思います。今一緒にCAとして働いている磯村さんもそうです。
正直今はスポーツ選手に対するレッテルを感じる事も少しあります。もちろん指導者になることも素晴らしい選択だと思います。でも、その幅や求められる母数って本当に狭いと感じています。
アスリートキャリアのサポートも勿論そうですが、国としてアスリートの育成やセカンドキャリアへのアプローチをしていくべきなのではないかと改めて思いますし、そのほうが面白いんじゃないかなと思いますね。
―大学院で学んだことがCA業務に活きていることはありますか?
ビジネスを学んでいることはもちろん活かせていますし、視野を広げてもらうためにはやっぱり色々知ってほしいので、そのきっかけを作れているのではないかなと思います。
例えばスポーツに携わっていきたいという方に対して、初めから業界知識を踏まえたうえでの話はできますが、それだけだと求職者の選択や可能性の幅を狭めることに繋がりかねないと思っています。ただ伝えるだけではなく、「サッカーに携わるとは何か?」を本人にも考えていただき、その後、僕からも業界の話やスポーツとの関わり方について伝える、というような接し方をしています。スポーツ業界では社会人経験が必要な求人多いので、スポーツ業界に進みたいのであれば、まずはこういった経験が必要だよねとかも話します。この話ができるのは、やはり大学院を通じて様々な視点を持てているからかな、とも思っています。
ただ、求職者が納得できる就職活動・転職活動になるように、にやりたいようにやってみることも実は結構大事だと思うので、そこも忘れずに大切にしています。
―大学院生で学び直しをすることのモチベーションはどんな所にありますか?
自分が成長していけるところです。あとは、モチベーションと言えるのか分からないですけど、現状維持でいるとすごく不安になるんです。大学院に通っていると新しい知識を入れないと不安を感じるんですよ。それは仕事も同様です。なにか情報を得て成長したり、アウトプットできたりしたときにすごくやりがいを感じて、モチベーションに繋がりますね。
未来を創造し、スポーツ経験をチカラに
―サッカーを引退されてセカンドキャリアの道を走り始めている鹿山さんにとって、現役の頃からずっと揺らがない"軸"はありますか?
自分の現状を把握することはずっと続けているというか、癖みたいなものですね。
例えば今大学院2年目で「こんな現状にあるからもっと違うカリキュラム受けなきゃいけないな」とか。サッカーをやっている時も、苦しい時に環境や監督のせいにするのは簡単だと思いますが、そうではなく自分にベクトルを向けて、「これができていないから自分は試合に出れないんだ」とか、「このプレーがうまくいかないなら、次からこう行動しよう」とかを考えて次のアクションを取っていたので、そういった考え方は揺らぐことなく、自分自身の強みでもあるのかなと思います。
―前回も伺いましたが、鹿山さんにとって「スポーツの価値とは?」改めて教えて下さい。
前回は「多くの人に喜びや感動、時には悲しみ、悔しさを届けるのがスポーツの価値」と話しましたが、今もその想いに変わりはないです。
喜びはもちろん、上手くいかない時もスポーツって感情をめちゃくちゃ動かされるので、その目に見えない感情や過程を言語化できるようになれば、スポーツの価値はより知ってもらえますし、認めてもらえるのではないかと思います。
―鹿山さんの夢のひとつである「アスリートの選択肢を増やしたい」には近づいていますか?
近づいているなと思います。
求職者の方とお話する際には必ず最初に、どんな条件で、どんな想いをもって就活・転職活動をしているのかを聞いています。僕が出来ることは企業を紹介することだけではなく選択肢を増やしていくことと、未来を創造できるようサポートすることだと思っています。不安や悩み、モヤモヤしている部分を解消できるような選択肢を求職者自身で決めてほしいですし、CAとしてもスポーツビジネスを学ぶ上でも、その選択肢を広げたいというのは夢のひとつです。
―最後に、現役アスリート体育会学生、また、キャリアに悩む方々にメッセージをお願いします!
自分のキャリアを考えるときは、自分にベクトルを向けてほしいなと思います。
そして、キャリアに迷ったときや自分自身にベクトルを向けることが難しい時は僕やマイナビアスリートキャリアを頼っていただきたいです。頼った結果、僕たちがすすめた選択肢と違う道に進んでも、良いと思っています。まずは、しっかりと未来を創造できるサポートをしたいと思っていますし、僕はそのきっかけになりたいなと思っています!
取材後記
鹿山さんにお話を伺い、『スポーツ経験が自身の選択肢を広げる鍵』となると感じました。ただ、その経験やスポーツから得た事をどのように活かし選択肢を広げることができるのかは、自分にベクトルを向け、現状や周りの環境について知ることで実現するのではないかと思います。視野を広げることは簡単なことではありませんが、スポーツの価値・自分自身の価値を高めていけるきかっけになれたらと思います。
スポーツ経験者の就労支援をサポートします。
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