すごいぞ、アスリート

"競技同士の両立" "企業のプログラム化"など可能性が広がるスポーツスタッキングとは―

澤田康徳(スポーツスタッキング協会 理事長)

スポーツ経験は、スポーツだけに還元されるものではなく社会で生き抜くチカラに変換されていきます。
スポーツをしていた、またはスポーツをしている人はどのようにキャリアを選択し、今輝いているのか。
今回はサッカーの経験を経て、現在はスポーツスタッキング協会理事長を務めている澤田さんの視点から「次の一歩」のヒントを得ていきます。

澤田康徳
スポーツスタッキング協会 理事長
小学生からサッカーに取り組み、中学時代には東京Vジュニアチームに所属。日本体育大学を卒業し、2004年より、さわだスポーツクラブに就職(https://sawada-sc.com/)。
2014年にさわだスポーツクラブの取締役社長に就任し、同年にスポーツスタッキングに出会う。のちにスポーツスタッキング協会の理事長に就任し今に至る。
 
―経歴
さわだスポーツクラブ取締役社長
スポーツスタッキング協会理事長



転機となった日本スポーツスタッキング協会運営の始まり―

―スポーツスタッキングとの出会いを教えてください。
元々、スポーツスタッキングに限らず、「運営しているスポーツクラブの中で“ニュースポーツ”を提供していきたい」と思っていました。何かないかと探していたところ、スポーツスタッキングの話を韓国の先生から伺い、これがきっかけになってスポーツスタッキングを選択肢の1つとして考え始めました。
 
―スポーツスタッキング協会を運営したのは、想像していないきっかけだったとか・・・
そうなんです。スポーツスタッキングを運動プログラムに使いたく、アメリカのスポーツスタッキング協会に連絡をしてみると、ちょうど日本の協会が契約をやめるというタイミングだったんです。その時に「君たちの団体が後任をやらないか」とアメリカの会長よりお声掛けしていただき、スポーツスタッキング協会を運営することになりました。
 
―それもまたすごい出会いですね!協会を運営するにあたって、不安はありましたか?
不安はありましたね。協会運営自体には、覚悟は決まっていましたが、海外スポーツということもあり、用品等は輸入するんです。輸入も物品販売もしたことがなかったので、普及させるためのそういった部分には不安がありました。
ただ、スポーツスタッキングに可能性を感じていて、海外大会を実際に観に行った上で協会運営を選択したので、“将来性”の部分での不安はありませんでした。

新たな人生の始まり―

―実際に協会運営を始めてみて、何が変わったと感じますか?
「新たな人生が始まった」と思います。
今まで出会うことがなかった人たちに出会うことができました。自分自身でいうと、商談や大会などで海外に行く機会が増えましたね。またスポーツクラブの運営は会員さんに向けて提供しますが、スポーツスタッキングではそうではなく、一般の方にも触れ合うことができます。触れ合うことができる分、自分のみならず、コーチ陣が露出する機会も増え、活躍する場も多く頂いていますので、嬉しいことばかりですね。
 
―具体的にはどんなところで活躍されることが多いのですか?
例えば、テレビで芸能人の方に挑戦していただく際はコーチングにいったり、行政団体、日本各地のスポーツ団体、また世界各国の舞台に赴いたりもします。学校で採用されることもありますし、スポーツイベントやお祭り、商業施設にも呼んでいただくこともあります。スポーツスタッキングは省スペースで老若男女問わず挑戦できますので、気軽に始めていただけることが、多方面に呼んでいただける理由の1つになっていると思います。

スポーツスタッキングをより多くの人に知ってもらうために―

―改めて、今の仕事内容を詳しく教えてください。
スポーツスタッキング協会の協会理事をしていて、競技の普及や広報活動をしています。また、学校の先生などを対象に講習会でスポーツスタッキングを教えたり、協会講師への指導、競技者を見つけるスカウトのような仕事もしています。
 
―『競技者を見つける』とは、どのようなことですか?
スポーツスタッキングの競技人口を増やすための動きです。
例えば学校へアプローチした際は、生徒の皆さんにはイベントや体験会を通じてスポーツスタッキングに触れてもらい、学校の先生にはコーチの資格をとってもらえるように案内します。また、大人を対象としたイベントも開催していて、様々な方に触れていただいています。
まずは、実際にスポーツスタッキングに触れる機会を増やして、興味関心を持ってもらうことが大事だと思って開催しています。「意外と気軽にできる」「意外と面白いな」みたいな意見を頂戴することが多いですね!
 
―気軽に始められる点は、多くの方に始めてもらえるメリットと言えますね
そうですね。チームスポーツでありながら、知らない方とも気軽にチームを組めるスポーツですし、友達を作りたいなどの理由でも始めてもらえると思います。ライトに始めてみて、のめり込んでから世界を目指すこともできます。また、親子のコミュニケーションツールとして使っていただくことができるんです。例えば、「昔やっていたサッカーをもう1度やってみよう」となると、体力や技術的に難しくても、スタッキングなら気軽に始められます。実際、親子で大会に出て、結果を残しているご家族もいらっしゃいます。私の家族もその1家族です!(妻と娘は、現在親子ダブルスの日本チャンピオンです!)
 


可能性の数を増やすことのできる“スポーツスタッキング”とは

―様々な場面で採用されているスポーツスタッキング、具体的にはどんな競技ですか?
カップ12個で3種目を競う、個人と団体スポーツです。
(詳細 https://www.wssajapan.com/howto/
試合は年間で行われるアジア大会や世界大会、    JAPANCUPなどがあります。今は世界的にみると大人よりも高校生くらいまでの競技人口が多い競技になっています。これからは大人の競技人口も増えていってほしいと思い、日々活動しています。
 
―スポーツスタッキングならではの特性はどんなところですか?
場所を取らず、マット・コップ等の専用道具があればどこでもできるところが他のスポーツにはない特性と言えます。
あとは、交流の場としても活用できるところです。大きな大会の団体戦に出場する場合は、チームとして練習を重ねる必要がありますが、イベントなどのレクリエーションでは、当日にチーム編成をすることもよくあります。初めて会った人とペアを組んだりもするので、コミュニケーションツールのひとつとして、多くの方が利用してくださいますね。
あとは、日本全国どこででもできることも特徴といえます。ちなみに、オンラインでも競技をすることができるんです。世界的な大会も、オンラインで自宅のテーブルでやったりすることもあるんですよ。他のスポーツではなかなかないことですよね。
 
―いろんな人がどんな場所でもできる、多様性のあるスポーツですね!
そうなんです。子供も気軽にできて、年齢も環境も問わず、自分に合ったスタイルで日本代表を狙うこともできます。他の事をしながら新しく始めて、世界を狙えるスポーツってなかなかないと思うんです。そういう部分でも多様性と可能性が広がっているスポーツだと実感しています。
 
―ほかのスポーツと両立している方もいますか?
若年層では、サッカーや野球、バスケなどと両立している人が多いですね。また大人の競技者は、仕事と両立(デュアルキャリア)されています。スポーツスタッキング自体が「集中力」や「戦略的な思考」を鍛えられるので、ほかのスポーツや仕事とも相乗効果をもたらしていくことができると思っています。
 
―集中力や戦略的思考はスポーツ以外でも活かせそうな能力ですね。
そうなんです。その部分に目を付けた多くの企業様が、「集中力」や「チームビルディング」の観点で取り入れてくださっています。
一種の育成プログラムとして活用していただくこともありますし、休憩時間に集中力を高めるツールとして採用して下さっているパターンもあります。脳へ刺激を与えられるので、企業以外では学習塾に採用されたこともあります。こういった部分も、他のスポーツと併用する理由の1つにもなっていると言えます。
 
―スポーツ同士の「デュアルキャリア」もできるんですね。
スポーツでは、“物事を判断する力”や“冷静に決断し行動する力”を求められる場面が多いです。
前述した通り、スポーツスタッキングは「集中力」や「戦略的思考」、「冷静を保つ」などの能力向上に長けていて、やればやるほどそのチカラは磨かれていきます。別のスポーツをしながら、スタッキングの時間を確保することは難しいと思いますが、5分の練習から取り組めるこの競技を両立することで、活躍していくための必要なチカラを磨くことができると信じています。

 


冷静と情熱のあいだで挑戦

―スポーツスタッキングをどんな存在にしていきたいですか?
日本のスポーツ界で「ONLY.1」な競技でありたいですね。
どんな人も挑戦でき、環境も問わないというマルチな意味合いで、多様性のあるスポーツとして展開していきたいと思っています。競技人口も増やしていきたいですし、誰もが日本代表になるチャンスがあるスポーツなので、ぜひ1度トライしてもらいたいと思っています。
冷静と情熱のあいだで戦うチームスポーツとして、また、自分の能力向上にもつながるスポーツです。競技とのデュアルキャリア、仕事とのデュアルキャリア、学校や企業の取り組みなど、幅広い場面で取り入れられる豊かなスポーツ団体として、多くの方に寄り添っていきたいと思っています。
 
―では最後に、澤田さんにとってスポーツの価値とは?
“可能性が無限大にあることが価値そのもの”だと思います。スポーツをすることで、世界に繋がることができる。世界へ挑戦する場はなかなかありません。    スポーツスタッキングが体現できることは沢山あり、それこそがスポーツの価値に繋がっていると思います。スポーツで得られることは、多くあります。スポーツスタッキングは、競技力はもちろん、チームで勝つためのプロセスを踏めること、挑戦するチカラ、集中力、戦略的な思考力など、挙げきれないほど学べることがあります。
その可能性を大いに活用できる環境を私たちが創っていき、スポーツの価値を提供できる場所を広げていきたいと思っています。

 

編集後記

今回はスポーツスタッキング協会理事長の視点から見た、スポーツスタッキングを通じて得られるチカラと、そのチカラが活きる場面などについてお伺いしました。気軽に始めることができ、他の競技への好影響がある、また学校や企業プログラムとしても活用されるスポーツスタッキング。
今後のスポーツスタッキングの発展を更に期待したいと感じるインタビューでした。
インタビューさせていただき、ありがとうございました!

youtube▶https://www.youtube.com/watch?v=u7EhVY_kdUY
HP▶https://sawada-sc.com/

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