部活動も取り組みながら、
効率よく就活をしたい
- トップページ
- アスリートキャリアキャリアプラス
- すごいぞ、アスリート
- 仕事、選手、コーチ、3つの顔を持ちパラレルキャリアを歩む
仕事、選手、コーチ、3つの顔を持ちパラレルキャリアを歩む
スポーツ経験は、スポーツだけに還元されるものではなく、社会で生き抜くチカラに変換されていきます。
過去にスポーツをしていた、または現在もあるスポーツで活躍している人は、どのようにキャリアを選択して今、輝いているのか。
アスリート自身の経験談から「次の一歩」のヒントを得ていきます。
高野さんとは?
ー高野 絵里(たかの えり)さん
中学から高校まで水球を経験。
大学でアルティメットと出会い、現在に至るまで競技を続ける。
TOKYO MAVERICKSの立ち上げに尽力。
現在は選手とユースクラブチームのヘッドコーチを兼任。
現職はSEOやWebマーケティング関連の仕事に従事。
選手、仕事、コーチの3つの顔を持ち、パラレルキャリアを歩む。
スポーツ経験と今
|高野さんの今までのスポーツ経験を教えてください。
中学校に入学してから高校卒業するまでの6年間は水球をやっていました。元々小さいころに習い事で水泳をしていて、水球は中学に入学してから始めました。当時、水球部内に経験者はいなかったものの、厳しい部活ではあったので、とにかく投げ出さないように、入部当初から最後まで走りきると心に決めて活動していました。
|現在の仕事を教えてください。
今は、SEOやWebマーケティング関連の仕事をしています。
メインとしては、Webメディアやコンテンツにおける施策立案や運用、ディレクション周りです。
アルティメットを通して学んだ目標達成のための道しるべ
|アルティメットの魅力を教えてください!
観戦と実際に競技をするのでは、それぞれに違った魅力があります。観戦する方はやはり迫力がありますね。ディスクの動きも分かりやすく、走る、飛ぶ、投げるという動きのダイナミックさが魅力です。一方、プレーヤーとしての魅力は、まだ発展途中のスポーツであるため、勝つための方法や戦略の正解を自分たちで試行錯誤して見つけていくのが、ワクワクして楽しいです。
|素敵な魅力ですね。実際にアルティメットという競技と出会って高野さん自身に変化は何かありましたか?
中学高校で水球をやっていた頃は、練習もプレーも指導者から言われたことをやる環境でした。指導者が求める正解にいかにたどり着けるか、という視点で行動していました。
一方、アルティメットは指導者がいない環境が当たり前です。そういった環境だったからこそ、自分の中で最終ゴールを決めて、そこに至るまでの仮説立てや実際に動き、成果に出る・出ないことを繰り返すフローが定着したんだと思います。自分で考えて検証するのは、慣れるまでは大変でした。
|水球とアルティメットでは真逆の環境ですね。ガラっと変わった環境に適応できた原動力は?
水球をやっていた時は、部員がそこまで多くなかったので、厳しい練習を乗り越えれば試合に出られました。一方アルティメットは、競技人口自体は少ないものの、所属していたチームの人数が多く、まずはチーム内での競争に勝たないと試合に出られないことに気付きました。私はトップ選手のように運動能力がずば抜けて高いわけではないですし、同じ努力をしていても仕方ないと思い、自分なりのプラスアルファの努力をしよう!という精神になりました。
|プラスアルファの努力…!具体的にどういったことを実行されましたか?
このチームでプレーするなら、どのポジションが狙えるか、そこを狙うために自分は何が不足していて、何を強化すべきか、活かせる自分の持ち味は何かを細分化して行動しました。
|徹底された目標管理ですね。そんな高野さんの目標管理方法を教えてください!
最終目標を立てた上で、シーズン単位、または大会毎に目標を立てる場合がありますが、更にそこから細分化して1か月、または1週間単位での目標をスプレッドシートで管理するようにしています。仕事でも同じような方法をとっています。
アルティメットと共に日々成長していくチーム
|卒業後の競技継続は、学生の時から視野に入れていましたか?
実は当時、競技を続けるという選択肢はなくて(笑)。
当時1個上の先輩からTOKYO MAVERICKSの立ち上げの話をいただいたときは、正直すごく悩みました。そして先輩や他の方々とも色々と話した結果、今に至ります(笑)。チーム設立時に、『世界一を目指すチームにしたい』と言われて、最初の1、2年は正直現実味はありませんでした。ただ、選手としてチームの成長を感じることが出来るようになってからは世界一も夢ではなく、現実味を帯びてきたように感じています。先輩だけの目標が、いつからか自分の目標になっていることも、競技を継続している一要因になっていると思いますね。
|チームが成長するには、メンバー間での相互認識を高めることも重要ですよね。チームとして何か特別な取り組みはしていますか?
今シーズンからの取り組みにはなりますが、チームメンバーのこれまで豊富な競技経験を積んできたオーストラリア人選手が中心となって、月に1回メンタルトレーニングをチーム全員で取り組むようにしています。この取り組みを始めてから、チーム全体的に気づきのアンテナが高くなったと感じています。自分自身も新しい発見が続き、競技に対する面白さが絶えないですし、とてもいい取り組みだと思っています。
初の日本一の裏側―試行錯誤した期間―
|TOKYO MAVERICKSの特徴を教えてください!
現在約30名の選手が所属しています。「身体能力だけに頼らない」、「チーム全員で勝つ」、「誰が出ても強い」を大事にしているチームです。私たちのチームは先ほど話に出たオーストラリア人選手のように、いろんな文化を持った選手がいます。さまざまな文化背景がある中、選手それぞれが皆、TOKYO MAVERICKSが大事にしていることに共感して所属しています。
|いろんな経験や知識の集まる、魅力多いチームですね。そんな選手が所属するTOKYO MAVERICKSの魅力も教えてください。
それぞれがチームの良さを理解して、魅力をさらに引き出していくことに長けていると思います。私たちは再現性のあるプレーを大事にしているので、どのタイミングで攻めるかという部分を全員が共通認識を持ちつつ、それぞれ何が得意でどうしたらその選手が最大限のパフォーマンスを出せるのか、どんな環境だったら全員が頑張れるのかを綿密にすり合わせています。また、プレーだけでなく、メンタル面でもどんな状況だったらベストパフォーマンスができるのか、なぜTOKYO MAVERICKSでプレーする必要があるのか、などの考えを共有し合うことで、相互理解を日々深めています。これらの取り組みが総じて互いの良さの理解とチームの魅力に繋がっていると思っています。
|素敵なチームですね…!皆さんがチームと競技を好きだからこそできることですね。
そうですね。アルティメットだけが人生ではないと思いますし、プライベートや仕事がある中で、自分たちが心からアルティメットやTOKYO MAVERICKSを好きで、自分がプレーすることを選んでいるという部分を大事にしています。
|昨シーズンは全日本選手権で優勝されていましたね!
そうですね。確かに優勝という結果を残せましたが、一方で今シーズンはチームとしてはいろいろ転機だったと感じていますね。
|転機とは?
チームを2018年に設立して、前シーズンまでは思ったような結果が残せていませんでした。
今シーズンは初の日本一を飾ることはできたものの、結局大半の試合はメインの選手だけが出場し、それ以外の選手は控えだったことが多いです。控えの選手は大量リードの時だけ、出場するのが実情でした。チーム創設の頃は強さ関係なく、皆が試合に出られて経験が積める環境があったのに、今はその成長の機会が拒まれているとも感じました。
これはチームとしての成長を見直すタイミングだと思い、いろいろ試行錯誤していました。
|具体的にどのようなことを取り組まれましたか?
チーム内で2チーム制を設け、個々のスキル向上とチームの戦術の幅を広げるための動きを実行しました。練習は一緒に行いますが、大会は別々に出場して、1人ずつが勝つためにできることは何かを考える機会を増やしていきました。もちろん、この取り組みを実行するにあたってチーム内でも意見が割れた部分もありましたが、結果としてTOKYO MAVERICKSの今後に大きく影響する経験ができた、貴重なシーズンになりました。
“もう一つの顔“コーチ目線でのアルティメット
|現在YAMATO Adlersというユースチームのコーチも兼任されているとお聞きしました。
2020年からコーチ業を兼任しています。元々小学生を教えていて、習い事のスクール規模感でやっていましたが、昨年度から中高生を対象としたクラブチームを発足させました。今はそのクラブチームのヘッドコーチを担当していて、週に3回指導を行っています。
|プレーヤーとコーチでは視点や見え方が変わりますよね。コーチをする上で意識していることは?
『コーチである私のやり方を強要したくない』という想いが強いですね。もちろん、トレーニングや練習内容をゼロから作り出すのは難しいと思うので、選手たちに対してヒントは与えます。そのヒントを参考にどんな練習に取り組むかなどは基本的に選手に任せていて、自分たちが決めたことに対する責任を選手たちに体験してもらっています。この経験の積み重ねで、何を目的として取り組み、結果的に何が良くて何が改善点なのかを言語化し、実行できるようになってほしいと思っています。また、この経験を競技だけにとどまらず、今後のいろんな経験に活かしていってほしいです。
|YAMATO Adlersとしての目標は何かありますか?
選手にはそれぞれ目標を立ててもらっています。私がコーチという立場で抱いている目標としては、『選手主導の活動で、日本一を取ってほしい』と思っています。
加えて、今後はチームの強さも継続性を持たせたいと思っています。ただ選手を獲得するフローなどが整っていない状況もあるので、新メンバーの間口を広げるための動きは積極的に取っていきたいですね。
また、今YAMATO Adlersではコーチも増やしたいと考えています。
アルティメットの競技経験がなくても、指導のご経験がある方は大歓迎ですので、もし少しでもご興味のある方はいつでもお待ちしています!
お問い合わせはこちら(http://yamatosports.com/)
転職してフリーランスから一転、組織という集団で働く日々
|現職を選んだ理由を教えてください。
前職を離れてから、フリーランスとして2年ほど働いていました。その時にお声をかけていただいて、今の会社に入社しています。会社が創業期の段階で、社長から会社の構想を伺って興味が湧き、今に至ります。ご縁でお世話になることになりましたが、自分に対して価値を感じてくれる人にお声がけ頂いたことが嬉しいですし、認めていただいたことに関しては自分の中でも大切な価値になっています。
3つの顔を持ち、パラレルキャリアを歩むなかで大切にしているもの
|実際にパラレルキャリアを歩み、大変な面はありますか?
そうですね。仕事、競技、コーチ業をやっていくのは正直、時間との闘いだと思っています(笑)。昨年はその3つのすべてにおいて時間がなさすぎて、今まで継続してきたからやってきたけど、それぞれ本当に自分のやりたいことなのか分からなくなった時期もありました。
競技でいうと当初は、今シーズンの選手としての活動はお休みしようとも思っていたんです。結局、2チーム体制など新しいことが動いていたりしたので、シーズン丸々休むことはなく、3~4か月ほどプレーヤーから離れてみました。一定期間距離を置くことで、やっぱり自分はアルティメットが好きで、アルティメットと歩む人生を送っているんだなと再認識できました。それぞれ「もう少し時間があれば…」と思うタイミングはありますが、この物足りなさがあるからこそ、ずっとガソリンがある状態で走り続けられるのかもしれません(笑)。
|パラレルキャリアを歩む上で、心掛けていることはありますか?
自分と関わっていただいているすべての人に対して誠実であり、感謝の気持ちを忘れないようにすることは心がけています。
自分の競技やコーチ業を考慮してくれた上で応援してくれている職場の皆さんもそうですし、仕事においてはサービスに対して期待していただいているお客様や、競技面では運営体制を整えてくれている所属チーム、またコーチ業においては月謝を払って私たちにお子さんを預けてくださっている親御さんなど、すべての人に対する誠実性は崩したくないですし、崩せないです。
競技を通して形成された『誠実性』
|今までご経験されたスポーツと仕事で共通して活きているチカラはありますか?
先ほどのパラレルキャリアとして意識している内容と重複しますが、やはり『誠実性』ですかね。自分の中で誠実性を大事にしていくには、相手のことを理解する、思いやるといった心理的なつながりが大事になってくると思っています。アルティメットは自分で考えて相手のことを理解しながら進めなければいけない競技性がありますし、つまりはコミュニケーションがあって成り立つスポーツなので、競技の特性が私の誠実性を形成したのだと思います。
高野さんから見たアルティメットと自身の今後
|今後のアルティメット界に期待することを教えてください!
アルティメットは大学スポーツとしての競技人口は多いのですが、社会人になると競技から離れてしまう人が多いんですよね。もっと競技を継続できるようなスポーツとしての立ち位置を確立していきたいですね。
また、競技環境がサッカーや野球などと違ってかなり限られているので、アルティメットができる場所が増えれば、競技人口も比例して増えるのではないかと思っています。
|チームや個人としての目標は何かありますか?
最終的にはやはり世界一を目指しています。ただ、勝ちに重きを置きすぎて盲目になるのではなく、チーム全員が戦力となりながら、楽しみながら、勝利を掴んでいきたいです。
そのためには一選手としても、こうあるべきだという概念を打破しながら、可能性を広げていけるように頑張りたいと思います。
ありのままの自分でいられる居場所
|高野さんにとってスポーツの価値とは?
『自分の居場所を持てること』であると思います。スポーツというフィールドの中では心理的に安全な場所なので、どんな自分でもいられますし、ありのままの状態で成功体験を積むことができます。スポーツをやっていたからこそ得られた居場所だと感じていますね。
|最後に読者にメッセージをお願いします。
何かに悩んでいる人は一度やってみることが大事だと思います。できるかどうか不安でも、まずは走り出すことでしか始まりません。軌道修正はいくらでもできるし、何とでもなります(笑)。悩んでいる理由が前向きなら、ぜひ一歩踏み出してみてください!
編集後記
大学生の時にアルティメットと出会い、競技を通して培ったものを活かしながら日々アップデートを続けている高野さん。仕事と競技にとどまらず、コーチ業も兼任しながらパラレルキャリアの人生を歩む高野さんからは、どれも自身の“好き”に基づいた選択をされているのだと感じました。
これからも応援しています。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。
すごいぞ、アスリートの関連記事
その他のカテゴリの記事
- 理想の環境を見つけたサッカー審判員Wさんの就活25卒 サッカー審判員 デュアルキャリア(体育会就活)就活体験談/体育会学生
- 焦りの中で丁寧に粘り強く就活を走り切ったYさん25卒 陸上競技 セカンドキャリア(体育会就活)就活体験談/体育会学生
- モチベーショングラフで自己分析はどうやる?分析方法から就活への活用まで徹底解説就職・転職ノウハウ
- ジョハリの窓で自己分析はどうやる?分析方法から就活への活用まで徹底解説就職・転職ノウハウ
- 転職活動を前向きに楽しむ気持ちが内定獲得に繋がったHさんの体験談中途 サイクルロードレース セカンドキャリア転職体験談/セカンドキャリア
- サッカー×建設業界・営業Ⅰさん 中途採用転職体験談/セカンドキャリア
- 自らの競技の可能性を信じて環境を変える選択をしたKさん中途 陸上競技 デュアルキャリア就活体験談/デュアルキャリア
- 広がった選択肢の中で自分に合う企業と出会えたMさんの就活25卒 陸上競技 デュアルキャリア(体育会就活)就活体験談/デュアルキャリア
- MACA アスリートキャリア アンバサダー卒業!その他
- 「サッカーしか知らない人」には、なりたくなかった――(前編)元Jリーガー×トップ営業 磯村亮太インタビューその他
- 【開催レポート】第5回Kurasu オンリーワンのプロランナー川内優輝さん ~現状打破に必要な物事の捉え方~開催レポートスクール・セミナー関連
- 【全学年対象】インターンシップオンライン説明会開催決定!2024年11月11日(月)13時~開催スクール・セミナー関連