すごいぞ、アスリート

世界の広さを知ることができた3人制バスケットボールと2つのキャリア―

TOKYODIME女子 加藤臨

今回の《すごいぞ、アスリート》は、
弊社とパートナー契約を結んでいる【TOKYO DIME】で活躍する、加藤さんにインタビュー。
 
5人制バスケットボールの選手をしている中、 突如3人制バスケットボールの日本代表候補合宿に召集され、「今まで出会うことのなかった世界を知ることができた」と語る加藤さん。海外の経験をしながら、トリプルキャリアを歩む彼女に、バスケのこと、仕事のこと、挑戦したことなど伺いました。

突然の日本代表候補合宿の招集から始まった3人制バスケの選手人生

┃3人制バスケを知ったきっかけの1つは日本代表の候補合宿だったとか!
 はい、もともとは5人制バスケで選手生活を送っている中で3人制バスケの代表候補合宿に呼んでいただきました。正直それが3人制バスケを知ったきっかけでもありましたね。5人制が専門でしたが、バスケという1つのカテゴライズの中で日本の代表になることが嬉しく、「やってやるぞ!」という気持ちで挑みました。
 
┃突然、3人制バスケを始める事に抵抗はありましたか?
最初は「5人制とそこまで変わらないのかな」と思っていました。その時はそういう感覚でやっていたので抵抗はなく、上昇志向で臨んでいましたね!
 
┃今はまた違った見え方がしていると。
3人制にどっぷりはまっている今は「全く違う競技」と言い切れます(笑)。もちろん、機動力というところは同じように必要になっていきますが、人数が少ない分、3人制は特に「戦術戦略」を綿密に立てて、戦い方を知り、遂行することが重要です。だからこそ別の競技として今はすごく楽しめています!


 

海外も経験したからこそできたTOKYO DIMEでの挑戦

 
┃海外に挑戦する、その決断をした理由を教えてください。
元々私は、自身のプロキャリアを10年計画として立てたときに、5人制で引き続き頑張っていく想定をしていました。そのため、日本代表候補合宿の後も5人制バスケを続けていたんです。
当時所属していたチーム内はみるみる状況が変わっていき、なんと、たった3年目でキャプテンを務めることになったんです。本来であれば、まだまだ下積み時期ですが、その時は自分の事だけではなくチームの育成部分も担い、“10年”と想定していたキャリアの内容が、ぐっと短縮されました。すごく嬉しいことではありますが、私の個人の成長が本来ある伸びしろよりも、伸びにくくなっているのではないかと、自分自身を危惧するきっかけにもなりました。
キャリアを続ける選択肢もあったのですが、バスケ人生が終わる時に後悔が残らない選択肢はどれか?と考えた時、自分が挑戦できる最後の機会として「海外」で挑戦してみようと思いました。
 
┃海外での挑戦!ずっとやりたいなと思っていたことでしたか?
そうですね。海外にはずっと興味があって、多くの縁とタイミングが合って「今しかない!」と思い渡米しました。やってみないと分からない、本当にそう感じます。やったからこそ自信にもつながっていますね。
 
そこからTOKYO DIMEとはどのように出会ったのでしょうか。
海外から帰ってきてひと段落しているときに、現キャプテンの小原選手に声をかけてもらいました。私が少しバスケをお休みしていたことも知っていたので「今バスケをしていないなら、練習を見に来てみない?」と誘ってもらったんです。
他のチームからの誘いもありましたが、実際に見学をして、TOKYO DIMEで活動していきたいと思い、入団を決めました。
 
┃なぜTOKYO DIMEを選ばれたのでしょうか。
「自分らしくいれる場所だ」と直感的に思っていたからだと思います。
 
┃「自分らしく」とは?
自身を抑えて活動するのではなく、のびのび楽しくバスケができることだと思います。
入団してからもその印象や考えは変わらず、「バスケやっていて楽しい!」と心から思うことができています。


 

3人制の魅力と可能性とは―

┃5人制からスタートしたバスケですが、3人制の魅力はどんなところにありますか?
同じプレイヤーに伝えるなら、「自分でコントロールできる範囲が5人制より5倍くらいはある」と伝えるかもしれません!それくらい行動に示していけることが大きな魅力ですね。
自発的に考えて行動し、実現するチカラが必要なのは3人制の魅力の1つだと思います。
 
┃その魅力を多くの方に知ってほしいですね。
そうですね、今いるメンバーの中にも新しく3人制バスケを始めた選手もいますし、スクールでも3人制バスケを指導しているので、その魅力や3人制だからこそ学べる事などを理解し、行動してくれると嬉しいなと思いますね!
 
┃3人制の可能性はどこにあると感じますか?
5人制バスケに活きる技術も多くありますし、戦術・戦略を自身たちで考えていくので、バスケ以外のどのキャリアを選んだとしても、重要なスキルになってくると思います。
3人制バスケは、バスケだけではなく、社会に出てからも活きるチカラも必然的に学べています。重要なスキルを学べるからこそ、人生においての可能性が大きくあると感じていますね。
スクールでも教えているのでそういう部分も知ってくれると嬉しいなと思います。


 
 

トリプルキャリアをしている自分が心地いい―

┃今お仕事はどんなことされていますか?
今は税理士法人で働いています。最初から税理士法人を探して、働くことを決めました!高校が商業高校で、簿記などが大好きだったのと、税務という部分にも興味関心があったので、今も楽しく仕事できています。記憶をたどると、そろばんや計算が大好きだったので、そのころから数字が好きだったのかもしれません!
 
税理士法人とバスケ、そしてスクールコーチのトリプルキャリア。どのようにバランスを取っていますか?
自分の中で、それぞれ目標を置いています。今日絶対に終わらせなければいけない事、そして次に、これをやったら明日の自分が楽になる、フェーズの目標やラインの優先順位を決めて日々過ごしています。
税理士法人での働き方は、最初はフルタイムで働かせて頂いたのですが、現在は時短社員で働かせてもらっています。
 
┃時短勤務にした理由は?
計画性をもって業務とバスケを行っていく中で、空白の時間が少しできているように感じたんです。人生における時間で考えたときに、そこがもったいないな、と思い始めたことで時短社員にしました。今はその分、濃密な時間を過ごせていて性に合っているなと思います。
結果的にバスケに割く時間が増え、スクール講師をすることができました。
 
┃人生おいての計画、をしっかり考えてらっしゃるんですね。
そうですね、計画を立てていく事が好きなのかもしれません。「マンネリ」や「何のためにやっているのだろう」と思う事に苦手意識があり、嫌なんだと思います。これは何のためにやる、という意図を考え、動きたいと常に思っていますね。また逆もそうで、何かを叶えたい、と思った時に何が必要かと意味を付けて行動することが多いです。
 
┃実際に経験していることが物語っていますよね。
バスケでいうと特にトップリーグをやめた時や渡米した時も、一度自分にとっての意味や意図に迷いがあったりました。その時は改めて見つめ直して、自分で決めてから行動したなと、今振り返ると思いますね。
 
┃立てた目標が達成できないときはどうしていますか?
すごくしんどいですね!元々、完璧主義だった部分もあるので、人一倍悔しがったりします。ただ自分と向き合う中で、長い目で見たら「経験になる」ととらえて前に進むことが多いです。感情に入りすぎず、やるべきこと、やらなきゃいけないことをtodoリストにして1つずつこなしていく、そしてそのうちできるようになる、というサイクルを自分で作っていくようにしています。
 
┃その考えはどの時期に学んだことですか?
選手をやっているからこそ、学んだことですね。バスケが人生の軸であり、いいときとそうではないときの波があって、その時期を解消するために得た自分の考えやスキルだと思います。
沢山乗り越えなきゃいけないことがあるなかで、「自分はどうだったか?」と振り返って、「じゃあどうしていかなきゃいけないな」と次のステップにいけるように自分に向き合っています。
 
┃トリプルキャリアを続けていくために、何が大事だと思われていますか?
バスケだけ、仕事だけ、とかにならず多くの事に興味関心を持ち続け、学び続ける事かなと思います。今いる環境にいながらも自分の「好き」を広げて、次に進んでいくこと、そして自分のフィールドを広げていく事が私にとって大事です!自身の満足度を上げるものだと思っています!
また取捨選択も大事です。全部やり続けなきゃいけないと思っていたら、自分にも負荷がかかってしまうので、自分にとって最善の取捨選択を取り続けたいなと思っています。


 

仕事と競技の両立をしているからこそ得られるチカラとは―

┃両方に活きている共通言語は何でしょうか。
「計画力」=目標達成するための手順を自分で考えることができる力ですね。
 
┃そのチカラは3人制のバスケで得たものですか?
いえ、これはスポーツ経験全般を通じて得たものですね。大小問わずその計画力は活きていきます。例えば、「自分が試合出るためには」、「自分がチームメイトに勝るためには」など、小さいことを重ねて大きな力にしていくという意味合いが強いです。
 
┃仕事ではどんな風に活きていますか?
逆算することかと思います。必要なタイミングや事柄について、逆算して計画し遂行することで滞りなく仕事を行えています。毎日起きる事なので、これも小さなことを重ねて大きな力にしていく事ができているように感じます。
 
┃バスケットボールチームではどんな風に活きていますか?
いろんな場面で活きていると感じます。そもそもTOKYO DIME女子は特に物事を“自分事”として考えられる人が多く、これはいろんな経験をしている人が多いからなのでは、と思っています。バスケが1つの共通事項でありながら、それ以外で活躍している人がたくさんいます。そのため、いろんな角度から計画や戦略を画策することができ、その過程や考えが日々学びであり、計画力は常に活き続けています。
 
┃チームメイトの中でも常に成長できる環境なのですね。
そうですね。バスケ以外の部分でも活躍している人が多く、1人の女性としてすごく尊敬します。仕事の話をたくさんするわけではありませんが、チームメイトを知れば知るほど深みも出て、興味も沸き、成長させてくれる人に恵まれていると感じます。
 
┃これからつけていきたいチカラや考えはありますか?
小さな目標を1つずつ達成することがまずは大事だと思います。大きな目標を達成するために小さなことをコツコツとしっかり遂行し、大きなことを達成できる「達成するチカラ」を得ていきたいなと思います。


 

広い世界を知ることができる3人制バスケとは―

┃加藤さんにとっての3人制バスケはどういうものでしょうか
私にとってのバスケは、人生を豊かにしてくれるものだと思っています。
そして3人制のバスケは、「広い世界を知ることができるもの」です。3人制ってどんな人でもトライできるんです。私のように元5人制の選手でも、ストリートで活躍していた人でも、学生でも、幅広い世代が選手として活動しています。人それぞれにストーリーがあって、その経験を全然違うフィールドの私が知ることができるんです!知るということだけで一気に世界は広がります。
すごいですよね、そういう面も本当に楽しいです!
 
┃3人制バスケを選択してよかったことは?
沢山あります!その中でも多くの人と関わることができることが1番良かったともう部分です。広い世界を知ることができ、5人制バスケのプロキャリアだけでは得ることのできなかった縁が多くあります。今の自分の人生を確実に豊かにしてくれていると思います。
 
 
┃加藤さんにとってのTOKYO DIMEとは?
「自分らしくいれて、成長できる場所」ですね!だからこそ、3人制バスケを専門にやっている選手から、3人制の日本代表選手が輩出できる環境を作っていきたいという目標があります。その目標を叶える場所にもしていきたいです。
 
┃TOKYO DIMEはこれからどんなチームになっていくのでしょうか
チームは10周年を迎えることができました。この歴史を次に繋げられるよう、自立した人が多いチームになっていきたいと思います。いい意味で歴史を塗り替えていけるような集団になっていきたいですね。



 

これからデュアルキャリアを選択しようと思っている方へ

┃これから競技と仕事を両立しようと思っている方へメッセージを!
世の中でいわれる「正解」というものはないと思っていて、私は「自分の正解が正しい」と思っています。
だからこそまずは挑戦。失敗か正解かなんて、正直分からないと思います。ただ、必ず経験はチカラになるので、怖がらず、自信をもって挑戦してほしいなと思っています!
 また、私は税理士法人というスポーツとはかけ離れた場所でも働いていますが、スポーツ経験で学んだことは必ず活きています。競技歴などで「自分なんて」と思わずに、その場所で学んだことが必ず力になると自分自身が体感しています。学んだことに自信を持って、社会に踏み出してほしいです!
 
┃最後にTOKYO DIMEに加入したいと思っている方に一言お願いします。
アシスト精神がある人と出会いたいと考えています。
DIMEにはアシストという意味もあるので、協調性があれば、今、自立していなくても大丈夫です。ぜひ飛び込んできてほしいと思います!


 
┃編集後記
日々、成長できる環境を求め、自らの努力でそれをつかみ取っていく加藤さんの話には、常にエネルギーと将来への希望が感じられました。自分が納得できるまで行動し、それを経験に変え、さらに上を目指していく姿は、私自身にも大きな刺激となりました。これからの加藤さんのさらなるご活躍が楽しみです。TOKYO DIMEの一員として、そして一人の女性としての活動を心より応援しております。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。

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