「元・Jリーガー」を、どこでも誇れる肩書きにしたい!(後編)

元Jリーガー×トップ営業 磯村亮太インタビュー

Jリーガーとして4つのチームでトータル14年にわたるキャリアを歩み、日本代表への選出経験も持つ磯村亮太さん。現役を引退し、2023年4月からは株式会社マイナビ アスリートキャリア事業部で働いています。いったいどんなセカンドキャリアを、どんな思いで歩んでいるのかをご紹介。また“今の磯村さん”を知る上司の方にもご登場頂きました。元・Jリーガーの働きぶりに触れ、アスリートの人生に触れて欲しいと思います。

戸惑いつつ、学びに没頭する日々



―まずは現在、磯村さんがどんな仕事をしているのか教えて頂けますか?
 
2023年4月にマイナビに入社してからは、アスリートキャリア事業部でキャリアアドバイザーとして、競技と仕事を両立させる「デュアルキャリア」の支援、スポーツ選手の“引退後”の働き先となる「セカンドキャリア」の支援、体育会学生の就職支援などにあたっています。
まずは『マイナビアスリートキャリア』にご登録くださったスポーツ選手と面談し、「どんなキャリアを築きたいか?」を伺い、企業様と折衝するRA(リクルーティングアドバイザー)とも連携を取りながら、最適な求人を紹介する。そんな流れですね。
 
―取り組んでみていかがでしたか? 勝手が違ったと思うのですが……。
 
そうですね。いくら元・プロサッカー選手だからといって“キャリア”に関わることでどんな話をすれば良いのか、戸惑うばかりでした。ただ僕自身、転職エージェントに頼った経験がありましたから、「こんなことを聞いてもらえたら、理解が深まるだろうな」、「この部分を不安に思っているだろうな」という想像はしやすかったので、そこを意識してお話を伺いました。
 
―働くにあたって、何か心がけている事はあるんでしょうか?
 
基本中の基本なんでしょうが、「レスを早くする」ことですね。できるだけ早く返答し、すぐに応えられない事でもリアクションだけはしておく。これもユーザー目線で考えた時、安心を生む要素であると思いますので。あとは、ひたすら勉強ですね。それこそ就活スケジュールも知らなかったので、あらゆることを一から学びました。
 
―勉強と一口に言っても、なかなか大変だったと思うのですが……。
 
いえ、その点で言えば同僚たちも、同じように勉強しているので“僕だけが”とはなりませんでしたね。元・プロサッカー選手だから特別なわけではないですし、他にも“人材業界未経験”から一緒に頑張る仲間がいたので、心強かったです。

―学ぶにあたって、どんな意識で臨んでいたのですか?
 
とにかく「わからない事は何でも聞く」ことですね。例えば上司の面談に同席した際、“この言い回しは伝わりやすいな”と思ったら、次の面談で積極的に真似したりして……。
あとはロープレを撮影して、動画を見返したり、やれることは何でも取り組んだつもりです。

営業成績トップをつかめたワケ――

―ちなみに“初めての成果”はいつ頃だったのでしょうか?
 
ラッキーが重なったこともあったのですが、4月から始めて6月に初めてサポートしている求職者から内定承諾をいただくことができました。そのままスムーズにいけるかなと思ったら、7月はゼロ件に。今思えば“数字への意識”が希薄でしたし、自分の強みや特徴も考えず、やみくもにやっていたのだと思います。
 
―今では“営業成績トップ”であると伺いましたが……。
 
もちろん巡り合わせはあるでしょうが、スポーツ選手や体育会学生にしっかりと向き合い、一人ひとりに合った面接対策やアドバイスを行った結果だと思います。求職者ときちんと“方向性”を定めておけば、一緒にゴールに向かって走ることができる。その積み重ねが、成績に表れているのだと思います。試行錯誤を重ね、上司や同僚とも様々な意見交換をしますし、情報収集は今も欠かさないようにしています。
 
―すごいですね。昨年までアスリートの世界にいたとは……。
 
でも、サッカー選手ならではの感性も活かせているんですよ。一番感じるのは、判断の早さ。サッカーって即興のスポーツですから、素早く状況を見極めようとする意識は共通している気がします。またビジネスシーンで「PDCAを回す」とよく言いますが、アスリートに置き換えると日々の練習でしていることと似ています。言葉は知らなくても、ビジネスに不可欠なマインドを、アスリートも持っているのではと感じています。

―これから先、仕事面での目標はあるのですか?
 
どんな求職者(スポーツ選手や体育会学生)にも、しっかり対応できるキャリアアドバイザーになることが目標です。まだまだ知識の引き出しを増やしたいですし、いろんな方から「相談される存在」になれたら嬉しいですね。
そして僕がビジネスで成功することによって、Jリーガーの“価値”を高めることができたら嬉しいですね。

【上司・鹿谷さんへもインタビュー】



 
―磯村さんと最初に会った時のことは、覚えていますか?
 
彼と初めて話したのは入社前面談でした。「サッカー日本代表にも選出された凄い元・アスリートが部下になる」ということで、正直出会うまでは緊張していましたが、あまりに物腰が柔らかく、話しやすい。でも、“言うべき事”はキチンと主張できる部分も垣間見えたんです。「これはきっと、トップセールスになれるな」と感じましたね。
 
―磯村さんのビジネスセンスは、はじめの頃から光っていたんですね。
 
一方で、パソコン操作には別の意味で驚かされましたけど……(笑)。でも、PC操作は慣れていけば、自然とできるようになりますからね。疑問があれば何でもすぐ聞いてきてくれますし、一通りの研修が終わってからは、改めて何か指導することはほとんどなかったと思います。
ただ、“数字への意識”については少しずつ伝えていきました。
 
―そしてトップ成績をたたき出し、チームの中核に立っていると
 
まだまだ成長できると思いますし、いずれは管理職へとステップアップを果たして欲しいですね。そのために欠かせない“俯瞰してモノを見る目”も少しずつ養ってくれていると感じています。また、彼の武器でもあるインプットする力を発揮しつつ、最近は周囲へのアウトプットにも取り組んでくれています。
と終始、褒めることになってしまいましたが、それくらい彼は「できるキャリアアドバイザー」なんです。今後にも大いに期待しています。
 

社会とアスリートは別物じゃない



 
―この記事を読む現役アスリートも多いと思います。メッセージがあれば……。
 
進路や将来について一度も考えたこと・悩んだことのないアスリートって、いないと思うんです。そして、いずれはキャリアの岐路に立たされる。そんな時、悩みに寄り添ってくれる存在を見つけることが大事ですし、私たち『マイナビアスリートキャリア』もその一つの選択肢になれると確信しています。
相談していただいたスポーツ選手・体育会学生に対しての面談には多くの時間をかけていますし、求人紹介も具体的に行っています。また、選考を進めるかなどの選択を急かすことなく、じっくり寄り添うように心がけています。
 
―ちなみにご自身のキャリアも鑑みて、「やれば良かったこと」はありますか?
 
やるべき事でいうと「さまざまな人の声に耳を傾ける」ことでしょうか。もちろん、人脈を広げられれば最高ですし、そうでなくても“さまざまな視点”に触れる努力はしておいて損はないです。
ただ、競技によって特性は違いますが、これまで挙げてきたようにスポーツを通じて“ビジネスにつながるスキル”を養えている部分は必ずあると思います。そこには自信を持って欲しいです。
 
―アスリートの世界と社会とは、決して切り離されたものではないんですね。
 
そう思います。今後の目標として「Jリーガーの価値を高めたい」と言いましたが、社会で活躍する元・Jリーガーが増えることも、スポーツの価値の一つだと思うんです。
アスリートとしてのキャリアも諦めず、競技と両立した仕事でも、引退後の仕事でも成功を目指す――。
もし迷うことがあれば一度、私たちに相談して欲しいと思っています。

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